日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボゴリューボフ」の意味・わかりやすい解説
ボゴリューボフ
ぼごりゅーぼふ
Николай Николаевич Боголюбов/Nikolay Nikolaevich Bogolyubov
(1909―1992)
ロシアの理論物理学者。ニジニー・ノブゴロドに生まれる。1923年クルィロフН.М.Крылов/N. M. Krïlov(1879―1955)のセミナーに入って非線形振動の研究を始め、15歳で最初の論文を書いた。中学から直接大学院に入学し、1928年卒業、1930年数学博士の学位を得た。初め変分法、概周期関数の研究を行い、非線形力学の漸近的方法を展開した。1940年以後は統計物理学や場の量子論の分野で重要な業績をあげており、1946年非平衡の多体分布関数に関するBBGKY方程式(Bogolyubov‐Born‐Green‐Kirkwood‐Yvon equation)、1947年超流動にかかわるボース粒子系の理論、1949年金属の磁性、1952年場の量子論の変分方程式、1955年場の量子論の諸問題、1957年超伝導の理論、1950年代後半のくりこみ理論の定式化、1963年非平衡統計力学のグリーン関数理論などが著名である。彼の仕事はいずれもその独創的観点と新方法の導入において際だっており、その寄与はきわめて大きい。モスクワ、キエフ(キーウ)両大学教授(1936~1950)、合同原子核研究所所長などを歴任した。
[常盤野和男]