ボルドー液(読み)ぼるどーえき(英語表記)bordeaux mixture

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボルドー液」の意味・わかりやすい解説

ボルドー液
ぼるどーえき
bordeaux mixture

硫酸銅生石灰で自家調製する殺菌剤。多種類の病原菌に保護剤として有効であるが、治病的効果は期待できない。使用作物の種類によって硫酸銅と生石灰の使用量を変更するので、その組成の一般式はCuSO4・xCu(OH)2・yCa(OH)2・zH2Oで表される塩基性硫酸銅である。石灰乳の中へ硫酸銅水溶液を徐々に加えてアルカリ側で反応させないと、懸濁(けんだく)液の粒子が粗くなって殺菌効果を発揮しない。製法巧拙により効力が変動する。1885年フランスのボルドー地方でブドウの盗難防止に硫酸銅と石灰の混合液を用いたところ、べと病の被害が少なくなったことから、ボルドー大学のミラルデPierre-Marie-Alexis Millardet(1838―1902)によって殺菌力が発見され、全世界に普及した。日本では1897年(明治30)茨城県牛久(うしく)のブドウ園で使われてから普及した。

[村田道雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボルドー液」の意味・わかりやすい解説

ボルドー液
ボルドーえき
Bordeaux mixture

無機銅剤。フランス,ボルドー大学のピエールマリ=アレクシス・ミヤルデによって見出された農薬で,ぶどうの露菌病,野菜,果樹の保護殺菌剤として繁用される。硫酸銅と生石灰の溶液を別々につくり,石灰乳液中に硫酸銅溶液を注入してつくられる。日本では硫酸銅 120匁(450g)を基準とし,生石灰はその半量,等量,倍量を加えて水 4斗(72l)に薄めたものを用い,それぞれ 4斗式,6斗式,8斗式と呼んだ。メートル法では水 1l に溶解する硫酸銅と生石灰のグラム数を用いて「4-4式ボルドー」のように呼ぶ。4-4式は 4斗式の石灰等量ボルドーに相当する。

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