ボードマー(読み)ぼーどまー(その他表記)Johann Georg Bodmer

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボードマー」の意味・わかりやすい解説

ボードマー(Johann Georg Bodmer、機械技術者)
ぼーどまー
Johann Georg Bodmer
(1786―1864)

スイス機械技術者。チューリヒに生まれ、10代で機械工場で働いた。その後、独立して水車の製造・修理などを始め、1808年には紡績業を、ついで火器製造も始めて特別な工作機械も開発した。1824年イギリスに渡ってボールトン近郊で紡績業に従事。1828年帰国して紡績機械の製造や製鉄所建設などを行い、1834年ふたたびボールトンに戻って、梳綿(そめん)から精紡までを連続工程で行う機械など、おもに紡績機械の製造にあたった。1839年、平削盤を鎖仕掛けでなく歯車装置で動かしベッドの送りを機械的に行うように改良した。晩年スイスに戻って機関車の設計などをしたほか、機械の部分品の規格化も試みた。

[内田 謙]


ボードマー(Johann Jakob Bodmer、批評家)
ぼーどまー
Johann Jakob Bodmer
(1698―1783)

スイス、チューリヒの啓蒙(けいもう)的批評家。生涯、神学校の国史学教授。文芸論では同僚のブライティンガーとともに、ミルトンの『失楽園』の崇高性を範とし、創作、鑑賞の原理想像力に求めた。このためライプツィヒの悟性万能主義のゴットシェットと対立するが、1740~50年代ドイツの若い世代に支持された。中世文学吟遊詩人ミンネザングや『ニーベルンゲンの歌』)の写本収集の功績も大きい。

[南大路振一]

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改訂新版 世界大百科事典 「ボードマー」の意味・わかりやすい解説

ボードマー
Johann Georg Bodmer
生没年:1786-1864

スイスの機械技術者。1802年16歳でトゥールガウ州で機械工となり,翌年ねじ歯車を発明。やがてキュスナハトに機械工場を設置,後装弾式の大砲を製作,09年にはザンクト・ブラジエンに移り紡績工場と機械工場を建て,火器や銃部品の製造にあたる。16年バーデン大公国の砲兵大尉となり,製鉄所の技術指導を行う。24年イギリスに渡り,ボルトンに機械製作工場を建て,水車や蒸気機関,舶用機関,回転弁や無弁空気ポンプ,紡績機械などの発明を行う。一時スイスに戻り,紡績機械や製鉄所の溶鉱炉などを作ったのち再びイギリスに赴き,30年代に歯車送りによる旋盤,平削り盤,歯車切削機,ラップ盤など数々の工作機械を製作する一方,部品の規格化にもつとめる。60年チューリヒに帰り機械製作を続けた。
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ボードマー
Johann Jakob Bodmer
生没年:1698-1783

スイスの歴史家,文芸理論家。1740年代に,フランス古典主義を理想とするゴットシェートと論争を行う。ブライティンガーとともに,文学における非合理的な要素,すなわち〈不可思議なるもの〉の復権を唱え,想像力の概念を導入することによって,18世紀ドイツ文学の発展に大きく寄与した。また,思想の自由と市民意識の確立を求める啓蒙主義者の立場から,スイス史の著作を残した。
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