翻訳|Luke
1世紀半ばの,初期キリスト教における信徒の一人。パウロの《ピレモンへの手紙》24節によれば,彼の〈同労者〉と呼ばれ,《コロサイ人への手紙》4章14節によれば医者であった。パウロの真正の手紙ではない《テモテへの第2の手紙》も,ルカが獄中でパウロとともにあったと記しているが,詳細は不明である。ルカの名まえに関心が寄せられるのは,彼が新約聖書中の《ルカによる福音書》および《使徒行伝》の著者ではないかとしばしば推測されるからである。そのことの最古の証言は2世紀後半の〈ムラトリ正典〉断片であり,同時代のエイレナイオスもそう考えている(《異端反駁》)。またアレクサンドリアのクレメンスも,彼とパウロとの間の密接な関係を証言しているが,《使徒行伝》にみられる著者の思想は,パウロのそれの正確な継承とは考えにくい。
執筆者:青野 太潮
福音書記者として表されるときは,筆と本をもち,しばしば執筆中の姿をとる。《ルカによる福音書》の内容から,古来犠牲の動物であった牡牛(ときに有翼の)を象徴とする。医師であったと伝えられるが,その姿をとることはまれで,民間伝説から画家として表されることが多い。特に15~16世紀のフランドル絵画に例が多く,画室内で聖母子の前にひざまずき,パレットと筆を手に彼らを写生している場面や,完成した肖像画を携える姿がよく描かれる。医師,画家などの守護聖人。中世からルネサンス期に各都市に作られた画家組合は,しばしば聖ルカ組合と名のった。また,ドイツ・ロマン主義の画家オーバーベックらは1809年〈聖ルカ兄弟団〉を結成している。祝日は10月18日。
執筆者:井手 木実
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『新約聖書』の「ルカ伝福音(ふくいん)書」および「使徒行伝(ぎょうでん)」の記者。ルカの名は『新約聖書』に3回現れるだけである。つまり、使徒パウロが弟子テモテにあてたとされる書簡のなかに、「ルカだけがわたしのもとにいる」と記され(「テモテ書―第二の手紙」4章)、さらにパウロにより「愛する医者ルカ」(「コロサイ書」4章)および「同労者ルカ」(「ピレモン書」24節)と述べられる。おそらく「ルカ」は、原始キリスト教会のエルサレム教団の代表的人物の1人に対する愛称であろう。
[定形日佐雄]
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…3回搾乳の場合は2回搾乳より10~15%乳量が増すが,労力も要するので2回がふつうである。最近はミルカーが普及して手しぼりは少なくなった。 ウシは品種によって差はあるが通例生後18ヵ月くらいから繁殖に供用する。…
…また,フィレンツェでは画家は14世紀前半に医師および薬剤師の組合に加入を認められたが,これは顔料と薬剤の関連によるものと考えられる。画家が医師と同じくルカを守護聖人としていることも画家がこの組合に編入された理由であり,やがて各地で独立の組合をもつようになっても画家組合は聖ルカ組合を名のることが多かった。特に15,16世紀のネーデルラントでは,画家組合の礼拝堂の祭壇画として〈聖母を描くルカ〉の主題が愛好されている。…
…その上限は,イエスをキリストと信ずる信徒たちを成員とする共同体が成立した時期であるが,これが〈教会〉という形をとるのはイエスの死後,後30年代に当たる。
[原始教会の成立]
最初の教会(いわゆる〈原始教会〉)は,《使徒行伝》の著者ルカによれば,聖霊の降臨にあずかった十二使徒を中心としてエルサレムに成立し,ペテロに代表される彼らの宣教内容はイエス・キリストの復活にあった。キリスト信仰の成立に,かつてのイエスの弟子たちの有した,復活のイエスの顕現体験に基づく復活信仰が大きな役割を果たしたことは事実である。…
…新約聖書の一つ。パウロの同労者であった医者ルカにちなんで呼ばれるが実際の著者名は不詳である。後90年ころの成立で,特定の個人〈テオピロ閣下〉に献呈されている。…
※「ルカ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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