日本大百科全書(ニッポニカ) 「マナマコ」の意味・わかりやすい解説
マナマコ
まなまこ / 真海鼠
[学] Stichopus japonicus
棘皮(きょくひ)動物門ナマコ綱マナマコ科に属する海産動物。「なまこ」として生(なま)のままで売られているナマコにはさまざまな体色や形のものがあるが、すべて本種に属するものである。冬から春にかけて、小石混じりの磯(いそ)の石の下や岩の上、あるいは砂の上にみられる。水温が高くなると砂中深く潜って夏眠する習性がある。体は太い筒形で、背面には角のようないぼ状突起が多数ある。腹面は平たく、粒状の無数の管足がある。体長20~30センチメートル、太さ6~8センチメートル。体色は複雑で、茶褐色、暗青緑色、黒褐色などの斑(ふ)が混じり合い、全体の色調によって、赤こ、青こ、黒こなどとよび分けることもある。腹面は赤い。体壁は輪切りにして生のまま、あるいは乾燥して「いりこ」とし、消化管は塩辛にして「このわた」、生殖巣は乾燥して「このこ」として食用にする。樺太(からふと)(サハリン)、千島列島、北海道から九州、朝鮮半島、中国沿岸に分布する。属名としてApostichopusが用いられることもある。
[重井陸夫]