改訂新版 世界大百科事典 「マナマコ」の意味・わかりやすい解説
マナマコ (真海鼠)
Apostichopus japonicus(=Stichopus japonicus)
ナマコ綱マナマコ科の棘皮(きよくひ)動物。日本各地に分布し,潮間帯から水深30mくらいまでの浅海にすむ。体長20~30cm,体幅6~8cmの円筒状。体色には変異があって外洋の岩礁にすむものは濃淡の褐色と栗色の斑紋があって俗にアカコと呼ばれる。また内湾の砂泥底にすみ,暗青緑色から黒っぽいものはアオコと呼ばれ,極端に黒いのはクロコとも呼ばれる。背面から側面には大小の円錐形のいぼ足がほぼ6縦列に並ぶ。腹面は赤みを帯び,管足は3縦帯に密生している。触手は20本ある。皮膚の中に埋没している骨片は孔のあいた円板の中央からやぐらのように突出した形で,年齢によって形がはなはだしく異なっている。
水温が16℃以上になると餌をとるのを止めて夏眠状態にはいるが,北海道ではこのようなことがないといわれる。産卵期は3~9月であるが,地方によって多少異なり,南方では早い。産卵数は50万~300万粒で,満1年で体長6cmほどに成長する。砂泥とともにケイ藻類,海藻,小型の貝類などをたべる。再生力が強いのを利用してナマコを殺さずに内臓を採取し,コノワタの原料にしている。アカコを数十個体おけに入れ,その上から2個ほどのナマコの腸の汁を入れると,その刺激で全部のアカコが内臓をはき出してしまう。内臓は6ヵ月ほどで再生する。
アオコは肉がかたいので生でたべる。煮て干したものをイリコ,内臓を塩づけにしたものをコノワタ,卵巣を生干ししたものをコノコといって,いずれも食用にする。
→ナマコ
執筆者:今島 実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報