スズメ目ヒタキ科の鳥。全長約22cm。雄は頭部が灰褐色で,背面はオリーブ褐色,胸からわきにかけては黄褐色をしている。雌は雄より全体に色がにぶく,のどは白色で褐色の小斑がある。シベリア東南部とカムチャツカで繁殖し,秋・冬季,台湾,東南アジア,マレー諸島などに渡る。日本には旅鳥として秋には10,11月,春には4,5月に渡来するが,ごく少数は越冬している。秋には渡来数が多く,ほかの大型ツグミ類より少し早く渡来する。全国の平地から山地の雑木林,灌木林,市街地の植込みなどにすみ,地上を跳びまわりながら昆虫やミミズをとらえて食べるほか,秋には,ズミやピラカンサなどの植物の種子も好んで食べる。地鳴きは,アカハラに似たシィーという鋭い声を発する。
執筆者:樋口 広芳
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
鳥綱スズメ目ヒタキ科ツグミ亜科の鳥。和名は、眉斑(びはん)の目だつ茶色のシナイ(ツグミ類の古名)の意。ツグミ属としては小ぶりで全長21~22センチメートル。上面はオリーブ褐色。胸とわき腹は橙黄(とうこう)色。眉(まゆ)と腹は白い。雄ののどは黒いが、雌は白色地に黒の縦斑がある。シベリア南部と中国北部で繁殖し、冬はフィリピン、ボルネオ島などで過ごす。日本でも少数が越冬するが、9月下旬から10月にかけて、群れで通過して行くものが多く、1947年(昭和22)にかすみ網猟が禁止されるまでは、毎年数十万羽が捕獲されていた。富士山麓(さんろく)でも少数が繁殖しているとされているが、よく似ているアカハラの変種である可能性も否定できない。
[竹下信雄]
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
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