マルコフ(その他表記)Andrei Andreevich Markov

デジタル大辞泉 「マルコフ」の意味・読み・例文・類語

マルコフ(Andrey Andreevich Markov)

[1856~1922]ロシア数学者チェビシェフ弟子確率論数理統計学多く業績を残し、「マルコフ過程」を創始した。また、20世紀初めのロシア自由運動に参加し、ツァーリ政府を批判した。著「確率論」など。

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改訂新版 世界大百科事典 「マルコフ」の意味・わかりやすい解説

マルコフ
Andrei Andreevich Markov
生没年:1856-1922

ソビエト数学者。中学校時代から数学に優れ,とくに解析学については高度の知識をもっていた。18歳でペテルブルグ大学に入学し,P.L.チェビシェフに師事した。1880年に学位を得,86年にはペテルブルグ大学の教授となった。業績は,初期のころには数論,級数論,連分数,近似理論など多方面にわたり,1900年ころからは確率論に集中している。独立確率変数列について研究し,かなり一般的な条件のもとで中心極限定理に厳密な証明を与えた。次いで従属変数列の研究に移り,今日マルコフ連鎖と呼ばれる重要な概念を導入しその研究をすすめた。それは{Xn}を確率変数列とし,……Xn-1Xnまで観測されたとき,未来の値Xn+1,……の分布を得るためにはXnのみを知ればよいとするものであり,その研究は確率過程の近代的理論の出発点となった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マルコフ」の意味・わかりやすい解説

マルコフ
まるこふ
Андрей Андреевич Марков/Andrey Andreevich Markov
(1856―1922)

ロシアの数学者。リャザニに生まれ、1878年ペテルブルグ大学を卒業。同年母校の私講師、1896年科学アカデミー会員、1898年母校の教授となった。彼の業績としてはチェビシェフおよびリャプノフАлександр Михайлович Ляпунов/Aleksandr Mihaylovich Lyapunov(1857―1918)とともにロシアにおける確率論研究のよき伝統をつくったことである。すなわちマルコフは「ある系の時間的発展模様が系の現在における状態と目標としている未来の時点とだけで確率論的に定まるような確率過程」を導入した。これは今日「マルコフ過程」とよばれている。著書に『定差法』(1896)と『確率論』(1912)がある。

吉田耕作

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マルコフ」の意味・わかりやすい解説

マルコフ
Markov, Andrei Andreevich

[生]1856.6.14. リャザン
[没]1922.5.20. ペトログラード
ロシアの数学者。ペテルブルグ大学に入学 (1874) 。 P.チェビシェフの主宰するペテルブルグ学派の研究会にも出席。彼の確率論の研究には,チェビシェフの影響が大きい。 1878年,卒業時に『連分数による微分方程式の解法』によって金賞を贈られる。ペテルブルグ大学講師 (80) ,助教授 (86) ,教授 (93~1905) 。初期の研究は整数論と解析学であったが,1900年頃から確率論を主として研究。彼の重要な業績は,いわゆるマルコフ連鎖の導入である (→マルコフ過程 ) 。マルコフ連鎖の理論は,互いに従属する事象の確率の研究に起源をもつもので,現代の確率過程論の一部分として,生物学,社会科学に広く応用されている。そのほか彼は,独立な事象に関するいくつかの古典的結果を,いくつかの型の連鎖に拡張した。

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世界大百科事典(旧版)内のマルコフの言及

【計算モデル】より

…コンピューターにより計算できるかどうかのことを計算可能性という。 計算モデルとしては,この他に,ポストE.L.Postによるポストモデル,マルコフA.A.Markovによって考え出されたマルコフアルゴリズム,項書換えシステムによるモデルなどがあるが,これらのモデルの計算能力もすべてチューリング機械と同じである。【萩野 達也】。…

※「マルコフ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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