ソビエトの数学者。中学校時代から数学に優れ,とくに解析学については高度の知識をもっていた。18歳でペテルブルグ大学に入学し,P.L.チェビシェフに師事した。1880年に学位を得,86年にはペテルブルグ大学の教授となった。業績は,初期のころには数論,級数論,連分数,近似理論など多方面にわたり,1900年ころからは確率論に集中している。独立確率変数列について研究し,かなり一般的な条件のもとで中心極限定理に厳密な証明を与えた。次いで従属変数列の研究に移り,今日マルコフ連鎖と呼ばれる重要な概念を導入しその研究をすすめた。それは{Xn}を確率変数列とし,……Xn-1,Xnまで観測されたとき,未来の値Xn+1,……の分布を得るためにはXnのみを知ればよいとするものであり,その研究は確率過程の近代的理論の出発点となった。
執筆者:飛田 武幸
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ロシアの数学者。リャザニに生まれ、1878年ペテルブルグ大学を卒業。同年母校の私講師、1896年科学アカデミー会員、1898年母校の教授となった。彼の業績としてはチェビシェフおよびリャプノフАлександр Михайлович Ляпунов/Aleksandr Mihaylovich Lyapunov(1857―1918)とともにロシアにおける確率論研究のよき伝統をつくったことである。すなわちマルコフは「ある系の時間的発展の模様が系の現在における状態と目標としている未来の時点とだけで確率論的に定まるような確率過程」を導入した。これは今日「マルコフ過程」とよばれている。著書に『定差法』(1896)と『確率論』(1912)がある。
[吉田耕作]
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…コンピューターにより計算できるかどうかのことを計算可能性という。 計算モデルとしては,この他に,ポストE.L.Postによるポストモデル,マルコフA.A.Markovによって考え出されたマルコフアルゴリズム,項書換えシステムによるモデルなどがあるが,これらのモデルの計算能力もすべてチューリング機械と同じである。【萩野 達也】。…
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働き手が自分の働きたい時間に合わせて短時間・単発の仕事に就くこと。「スポットワーク」とも呼ばれる。単発の仕事を請け負う働き方「ギグワーク」のうち、雇用契約を結んで働く形態を指す場合が多い。働き手と企...
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