イギリスの政治家。父はイングランド国教会の牧師、夫は金融機関勤務。グラマー・スクール(選抜制の公立中等学校)に通ったあと、オックスフォード大学で地理学を学ぶ。イングランド銀行勤務、地方議員などを経て、1997年に下院議員に初当選。2002年から2003年まで保守党幹事長。2010年から首相デビッド・キャメロン率いる保守・自由民主連立政権のもとで内務大臣となり、2016年7月まで務める。
政治信条としては、社会的に恵まれた立場にある者はそうでない者に配慮する義務を負うとする、ワン・ネーション保守主義one-nation conservatismとよばれる立場(自由な経済競争を重視するサッチャリズムと対比される)をとる。経済政策では中道寄りの路線を支持するが、犯罪・治安対策や教育問題では保守的な立場である。
2016年6月に行われたイギリスのヨーロッパ連合(EU)残留をめぐる国民投票では、消極的に残留を支持する立場をとった。離脱派が勝利したことを受けてキャメロンが首相を辞職したあと、同年7月に行われた保守党党首選挙に当選し、サッチャーに次いでイギリス史上二人目の女性の保守党党首・首相となる。
2017年3月、メイはEUから離脱(ブレグジット)する意思を正式に通告し、その直後に政権基盤の強化を目ざして下院の解散を求める意向を表明した。同年6月に行われた下院総選挙で、メイは「強く安定したリーダーシップ」を旗印に、EUの単一市場からも脱退する「強硬離脱hard Brexit」路線への支持を訴えた。しかし党首討論を避けたことや公的介護の自己負担増を含む党公約への批判が高まり、大学教育の無償化や鉄道・水道会社の国有化など左派的な政策を掲げた野党労働党の追い上げを許した。保守党は第一党にはとどまったものの下院の過半数を失い、メイは北アイルランドの民主統一党(Democratic Unionist Party:DUP)と閣外協力協定を締結することで、少数派政権を発足させた。国内向けの強硬なレトリックとは裏腹に、EUとの離脱交渉では折衷的な立場をとり、EUとの外交・安全保障面での協力も維持しようとした。難航した交渉の末、2018年11月にようやくEUと離脱協定案に合意したが、保守党内の対EU強硬派と野党の親EU派勢力の双方から批判を受け、協定案は下院で三度否決された。保守党の支持を失ったメイは、2019年7月に首相の座を退いた。
[池本大輔 2022年3月23日]
『池本大輔著「イギリス:強硬離脱の原因とその帰結」(『混迷する欧州と国際秩序』所収・2020・日本国際問題研究所)』
竜盤目獣脚類(亜目)テタヌラ類(下目)鳥獣脚類Avetheropodaコエルロサウルス類Coelurosauriaマニラプトル形類Maniraptoriformesマニラプトル類Maniraptoraエウマニラプトル類Eumaniraptoraトロオドン科Troodontidaeに属する恐竜。
中国東北部の遼寧(りょうねい)省の白亜紀前期の地層、熱河層群(ねっかそうぐん)(熱河生物群)から、頭を肘(ひじ)の下にたくし込んで、鳥類に特有の寝姿をとった新属新種の肉食恐竜の化石が発見され、「メイ・ロング」と命名されたのは、2004年10月のことであった。それより前に、卵を抱いて温めていたと思われる恐竜化石が発見されているが、それに続き、鳥類の特徴とされる行動が恐竜にも始まっていたらしいことを示唆している実例であった。学名の由来は、中国語で「安らかに眠る」という意味からきたもの。推定全長は53センチメートル。
化石は全身骨格で、頭を左肘の下にたくし込み、足首や膝(ひざ)を体の下に入れていた。骨はほとんど脱臼(だっきゅう)しておらず、生きていたときの姿勢のままと考えられている。骨の状態からはまだ成長の途中であったとされている。手足を折りたたみ、しっぽを折り曲げて胴体に密着させ、頸(くび)を後ろに向けて、頭を背中の上に乗せていた。骨格はトロオドン類の原始的形態である。体を丸めることは、外気と接する面積を減らすことができるため、鳥類や哺乳(ほにゅう)類のような恒温動物にとって重大な、体温の低下を防ぐ効果がある。メイはある程度の恒温性を進化させていた可能性がある。
標本が発掘された地層の堆積(たいせき)物は、火山灰が降り積もってできた凝灰岩であるので、化石の保存状態がよく、休息か睡眠の姿勢がそのまま残されたと考えられる。
[小畠郁生]
『真鍋真監修、朝日新聞社事業本部編「恐竜博2005 恐竜から鳥への進化」(カタログ。2005・朝日新聞社)』
ロシアの詩人。モスクワの零落した貴族の出身。本格的な詩作活動は1850年代からで、初期の詩には、装飾美を誇示し、自由な芸術を謳歌(おうか)する純粋芸術派の傾向が著しいが、のちに社会的矛盾や「小さな人々」に対する鋭い関心や共感を示す詩も書いた。多様な詩才を発揮した叙情詩のなかで目だつのは、繊細な捕捉(ほそく)しがたい心の動き、心理的ポートレートの複雑さを微妙に伝え、グリンカ、チャイコフスキー、ボロディン、ムソルグスキーなどによってポピュラーな歌曲になったロマンスである。ほかに、ロシア史とフォークロアに取材し、オペラにもなった劇詩『プスコフの娘』(1849~59)、『皇帝の花嫁』(1849)が有名。
[島田 陽]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
ロシアの詩人。モスクワの貴族の家に生まれ,ツァールスコエ・セロ(現,プーシキン)のリツェイ(貴族の子弟の学校)に学び,1852年まで役人となる。1840年代後半からスラブ派の雑誌《モスクワ人》に参加して抒情詩を書く。現実生活をこえた永遠の理想を歌う一方,しだいに社会的・歴史的モティーフに傾斜し,イワン雷帝の時代に題材を採って,権力のまえに破れ去る人間を描いて劇詩《皇帝の花嫁》(1849),《プスコフ女》(1849-59)を書いた。これらはのちにリムスキー・コルサコフによってオペラにされた。
執筆者:新谷 敬三郎
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出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
マイをも見よ。
出典 日外アソシエーツ「20世紀西洋人名事典」(1995年刊)20世紀西洋人名事典について 情報
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