メグロ(読み)めぐろ(英語表記)white-eyed honeyeater

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メグロ」の意味・わかりやすい解説

メグロ
Apalopteron familiare; Bonin white-eye

スズメ目メジロ科全長約 14cm。小笠原諸島固有種。かつては日本で 1種だけミツスイ科に置かれていたが,分子遺伝学の研究によってメジロ科に移された。背面は暗オリーブ灰色,眼先と下面は黄色である。額から眼の後上,頬にかけて三角形の黒いマスクのような模様が印象的だが,眼のまわりが白いなどその他の点ではメジロに似ている。小笠原諸島聟島列島母島列島に分布するが,聟島の鳥は絶滅した。母島列島には生息しているが,生息場所が限定され,個体数は減少している。父島でも記録はあるが,生息していたかどうかは確実ではない。4~6月に常緑広葉樹林の 1~5mの樹上に営巣する。メジロの吊り巣とは異なり,木のまたや幹などに固定した椀型の巣に 2~4個の卵を産む。国の特別天然記念物ならびに「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)の施行にともない国内希少野生動植物種に指定されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「メグロ」の意味・わかりやすい解説

メグロ
めぐろ / 眼黒
white-eyed honeyeater
[学] Apalopteron familiare

鳥綱スズメ目ミツスイ科の鳥。全長14センチメートルの小形種で、日本の小笠原(おがさわら)諸島に限られて分布する希種である。現在母島と向(むこう)島にしかいないが、母島の島内ではごく普通にみられる留鳥。背面は赤みがかった緑色、腹面は黄色でわきは暗色、顔も黄色で目の周りに白いリングがあり、さらに黒い三角形の大紋がある。常緑広葉樹林の林縁、二次林に多く、道べりや人家の庭木にも現れる。つがいや小群で過ごし、繁殖期には木の枝に巣をつくる。花蜜(かみつ)のほかに果実昆虫も食べる。特別天然記念物である。

[中村登流]

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