改訂新版 世界大百科事典 「メグロ」の意味・わかりやすい解説
メグロ (目黒)
Bonin Islands honeyeater
Apalopteron familiare
スズメ目ミツスイ科の鳥。全長約14cm。一見メジロ(メジロ科)に似た小鳥で,背面は灰色がかった暗オリーブ色,下面は黄色い。メジロと違って,額,眼の周囲,顔が黒い。体はメジロよりひとまわり大きく,くちばしや脚もずっと大きくじょうぶである。小笠原諸島の特産で,聟島列島,母島列島,父島に生息するとされるが,母島列島以外では絶滅したようである。母島では原生林や村落の近くにすみ,海岸の低木林の中でも見かける。食物は主として果実と昆虫類で,昆虫ではアリ類を比較的多く食べている。巣は枯葉や植物の繊維でできたやや深いわん型で,原生林の中のかなり高い木の上につくられるが,比較的低いところにあるものもある。卵は淡青色の地に細かい斑点が密にあり,1腹ふつう2卵を産む。フィー,フィーと聞える声でしばしば鳴き合う。さえずることはまれだが,複雑なよい声でさえずる。この鳥は現在一応ミツスイ科に分類されているが,真の類縁関係はわかっていない。国の特別天然記念物に指定されている。
執筆者:森岡 弘之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報