ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メスメル」の意味・わかりやすい解説
メスメル
Messmer, Pierre Auguste Joseph
[没]2007.8.29. パリ
フランスの政治家。パリ大学,国立東洋言語学校卒業。法学博士。 1940年以降シャルル・ドゴールの自由フランス運動に参加。アフリカ,イタリア,フランス,ドイツ戦線で戦い,1945年にはインドシナでベトミンの捕虜となった。 1946年インドシナ問題連絡委員会事務局長,1947~48年インドシナ高等弁務官,1950年海外領土主席行政官,1952~59年フランス領アフリカ各地の知事,高等弁務官を歴任。 1960~69年の歴代内閣の国防大臣を務め,ドゴール戦略構想および対米自立政策の立役者として活躍,1960年の原子爆弾実験から 1968年の水素爆弾実験成功にいたるフランスの核開発の推進者。 1972年海外領土担当国務大臣,1972~74年ジョルジュ・ポンピドー大統領のもとで首相を務めた。 1999年アカデミー・フランセーズ会員に選出された。
メスメル
Mesmer, Franz (Friedrich) Anton
[没]1815.3.5. メールスブルク
ドイツの医者。メスメリズムの始祖。メスメリズムは,全宇宙を満たしているなんらかの流体が人間の神経系統に働き,収縮と膨張を繰返していると考えた。そして,その作用が体内で妨げられることが病気の原因であり,指で患部に触れるなどしてこの流れを正常化すれば治療効果が生じるとした。この流体は初め電気または磁気 (→動物磁気 ) と考えていたが,のちには自己に伏在する玄妙な力と考えるようになった。彼は 1778年,パリに移ってこのメスメリズムに基づいて治療室を開設。多くの人が治療を求めて集り,ある程度の成功を収めたが,学者からは認められなかった。しかし,のちの心身医学の思想,催眠療法の先駆者としての意義は大きい。また,信仰療法にも対応する側面をもつといえる。著書に"Mesmerismus" (1814) などがある。
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