メセナ(読み)めせな(その他表記)mécénat フランス語

精選版 日本国語大辞典 「メセナ」の意味・読み・例文・類語

メセナ

  1. 〘 名詞 〙 ( [フランス語] mécénat ) 文化・芸術などを庇護・支援すること。特に、企業などが見返りを求めずに資金を提供する文化擁護活動をいう。紀元前一世紀のローマ将軍ガイウス=マエケナス(Maecenas)が、隠退後、ホラティウスウェルギリウスなどの芸術家を庇護したところから、その将軍の名にちなむ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「メセナ」の意味・わかりやすい解説

メセナ
めせな
mécénat フランス語

芸術、文化への支援活動のことで、とくに企業によるものを意味する。古代ローマの政治家で芸術、文化の擁護者であったガイウス・マエケナスフランス語読みメセーヌに由来する。英米では、芸術スポンサー(sponsorship of the art)という。主要な方法は二つである。第一は、冠(かんむり)コンサート、冠イベント、冠講座などとよばれる方法で、必要資金を直接負担する。第二は、基金財団のような支援組織を通じて行う間接的方法である。メセナは企業による社会貢献の一部であり、欧米では以前から活発に行われていたが、日本では1980年代後半から急速に盛んになった。ただ、税制上の優遇措置が十分でない日本の場合、支援が企業の業績によって左右されるなどの問題がある。こうした税制問題への対処、さらには企業によるメセナの奨励とよりいっそうの発展を図ることを目的に、1990年(平成2)3月に社団法人企業メセナ協議会が発足した(1994年文化庁から特定公益増進法人に認定)。同協議会は、メセナ活動の実態調査、「メセナアワード」による企業や財団の表彰などを行っている。アメリカイギリス、フランスなどにも同様の組織がある。

[森本三男]

『菅家正瑞監修・編、佐藤正治編『企業メセナの理論と実践――なぜ企業はアートを支援するのか』(2010・水曜社)』

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百科事典マイペディア 「メセナ」の意味・わかりやすい解説

メセナ

フランス語で〈芸術・文化を保護・支援すること〉の意味。企業が行う文化支援活動をさす。語源はローマ帝政初期の貴族で文芸活動の保護に力を入れたマエケナスMaecenasに由来。日本でも1970年代から理解を示す企業が増え,1990年にはイギリスのABSA(芸術助成民間協議会)やフランスのADMICAL(商工業メセナ推進協議会)にならって企業メセナ協議会が設立され,1994年に特定公益増進法人の認可を受けた。1990年代に入り,長い不況のもと苦慮する企業もあり,1998年にはメルボルンで開かれることになっていた〈アジア・メセナ会議〉も中止となったが,今こそ真価を発揮すべきという声もある。
→関連項目冠大会企業市民ボランティア休業制度

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