日本大百科全書(ニッポニカ) 「モクゲンジ」の意味・わかりやすい解説
モクゲンジ
もくげんじ
[学] Koelreuteria paniculata Laxm.
ムクロジ科(APG分類:ムクロジ科)の落葉高木。オオモクゲンジともいう。高さ約10メートルに達する。葉は互生し、奇数羽状複葉。小葉は卵形で先はとがり、不ぞろいの深く切れ込む鋸歯(きょし)がある。夏、枝先に円錐(えんすい)花序をつくり、小さな黄色花を多数開く。萼片(がくへん)は5枚で大きさは不等、花弁は4枚、雄しべは8本、雌しべは1本。蒴果(さくか)は三角状卵形で長さ4~5センチメートル、果皮は薄く3片に裂け、球形で径約7ミリメートルの黒色で堅い種子を出す。日本の一部の地域に野生するが、多くは栽培されたものが逸出したと考えられる。朝鮮半島、中国北部および東北部に分布する。名は、ムクロジ(ムクロジ科の別植物)の中国名である木患子を誤ってモクゲンジにあてたため、木患子の日本語読みであるモクゲンジになったという。種子を数珠(じゅず)に使用する。
[古澤潔夫 2020年9月17日]