改訂新版 世界大百科事典 「モクゲンジ」の意味・わかりやすい解説
モクゲンジ
goldenrain tree
Koelreuteria paniculata Laxm.
中国中部から朝鮮にかけて分布するムクロジ科の落葉高木。中国では墓地に,日本ではしばしば寺院境内などに植えられ,また福井県~山口県の日本海側海岸近くに野生状態で見いだされるが,真の自生かどうかは疑問がある。高さ約10mになり,葉は7~15枚の小葉からなり,長さ20~40cmの羽状または2回羽状複葉で互生する。小葉は長さ4~10cmで,ふちに欠刻様重鋸歯があり,ときに下部は羽状に分裂する。花は径約1cm,黄色の両性花で,7月ころ,直立した大形の円錐花序に多数が咲く。萼は短く,5深裂し,花弁4本,おしべ8本。果実は長さ4~5cmのホオズキ状にふくらんだ蒴果(さくか)で,熟すると3裂開し,径約7mmの黒色球形の3個の種子を出す。種子はかたく,念珠とする。花は黄色染料にされる。和名のモクゲンジはムクロジの漢名〈木患子〉に由来する。
執筆者:緒方 健
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報