モーダルシフト(読み)もーだるしふと(英語表記)modal shift

日本大百科全書(ニッポニカ) 「モーダルシフト」の意味・わかりやすい解説

モーダルシフト
もーだるしふと
modal shift

ある交通機関からある交通機関へ、旅客貨物が利用する交通機関をかえること。主として、旅客においては自家用車から公共交通機関へ、貨物においてはトラックから鉄道、海運などへ輸送軸足を移す場合をさす。国土交通省物流の低炭素化などを目ざしてモーダルシフトを推進する事業を行っており、補助金などの交付が行われている。

 モーダルシフトの基本的な発想は、輸送効率が悪く、混雑が発生し、環境負荷が高いといわれる自動車輸送を抑制し、輸送効率が高くて環境に優しい交通機関への利用を促進するというところにある。とくに近年においては環境に対する意識の高まりから、環境に優しい交通機関の利用促進のためにモーダルシフトが政策的に誘導されることが多い。この点が、イコールフッティング(各種交通機関の平等な条件の下における競争)の立場から鉄道輸送を擁護し、自動車輸送からのシフトを目ざした1970年代の総合交通体系議論とは若干異なっている。

[竹内健蔵]

『杉山武彦監修、竹内健蔵・根本敏則・山内弘隆編『交通市場と社会資本の経済学』(2010・有斐閣)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モーダルシフト」の意味・わかりやすい解説

モーダルシフト
modal shift

貨物輸送を,トラック輸送から鉄道や船舶などの大量輸送機関に代替すること。 1990年の貨物輸送の機関分担率ではトラックが 50.2%と最も高く,次いで船舶が 44.7%と両輸送機関で大半を占めた。なお,鉄道の分担率は 5.0%,航空は 0.1%にとどまっている。交通渋滞激化やそれに伴う窒素酸化物 NOx,CO 2 など排気ガスによる大気汚染,ドライバー不足の深刻化など自動車輸送の諸問題を背景に,船舶や鉄道への輸送手段の代替が強く求められている。そのため内航海運にかかわる船腹量調整の緩和や鉄道のコンテナ輸送の増強を進めている。

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