ユキザサ(英語表記)Smilacina japonica A.Gray

改訂新版 世界大百科事典 「ユキザサ」の意味・わかりやすい解説

ユキザサ
Smilacina japonica A.Gray

温帯性落葉樹林の林床植物として代表的なユリ科多年草。林床のやや湿った草地に群生し,5~6月に白色の小さな花を密な円錐花序につける。和名は雪のように白い花とササに似た平行脈の目だつ葉にちなんだもの。茎は高さ20~60cm。開出毛が多い。葉は2列互生で長さ6~13cm。裏面には軟らかい毛が多い。花被は6枚で平開し,長さ3~4mm。おしべは6本。果実液果で,径5~7mmの球形。秋に赤く熟する。日本全土に分布し,中国大陸,朝鮮半島,ウスリー,アムールにもみられる。

 ユキザサ属Smilacina(英名false Solomon's seal)は北アメリカと東アジア隔離分布する植物の一つで,約25種が知られている。日本には3種あり,ユキザサが両性花をつけるのに対してヒロハユキザサS.yedoensis Fr.et Sav.とヤマトユキザサS.hondoensis Ohwiはともに雌雄異株である。3種ともに若葉山菜として食用にされる。北アメリカ産のS.racemosa(L.)Desf.,S.stellata(Will.)Desf.などは観賞用に栽培される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユキザサ」の意味・わかりやすい解説

ユキザサ
ゆきざさ / 雪笹
[学] Maianthemum japonicum (A.Gray) LaFrankie
Smilacina japonica A.Gray

ユリ科(APG分類:キジカクシ科)の多年草。根茎から茎を出し、直立して高さ約40センチメートル、上部は斜め上に伸びる。葉は茎に左右2列につき、長楕円(ちょうだえん)形で長さ約10センチメートル、両面が開出毛に覆われ、数本の縦脈がある。5~6月、茎頂に長さ約7センチメートルの軟らかい開出毛のある円錐(えんすい)花序をつけ、多数の白色花を開く。花は径約5ミリメートル、花被(かひ)は6枚あり狭長楕円形で先は鈍くとがる。果実は球形の液果で径約5ミリメートル、10~11月に赤く熟し、種子は数個できる。

河野昭一 2019年4月16日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ユキザサ」の意味・わかりやすい解説

ユキザサ(雪笹)
ユキザサ
Smilacina japonica

クサスギカズラ科の多年草。日本,東アジア,ウスリー,アムールに分布する。山地の林中,木陰に生える。地下茎は肉質で地をはい,節から根を出す。茎は長さ 20~60cmで直立するが上半は斜上し,上部になるに従って毛が多くなる。下部は白色膜質の葉鞘で包まれる。葉は 2列に並び,柄は短く広楕円形,両面に毛が多い。5~7月,円錐花序を頂生し,小さい白花をつける。液果は初め緑色球形,赤熟する。果肉は甘いが,やや毒性があるといわれる。同属の近縁種は北アメリカにもある。

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百科事典マイペディア 「ユキザサ」の意味・わかりやすい解説

ユキザサ

北海道〜九州,東アジアの山地の林下にはえるユリ科の多年草。茎は高さ20〜50cm,5〜10個の葉を左右2列につける。葉は長楕円形で長さ6〜15cm,多少の毛がある。5〜6月,茎頂に白色で径約6mmの花を円錐状に開く。果実は赤熟。近縁のヒロハユキザサ(ミドリユキザサとも)は深山にはえ,全体に大きく,花は淡緑色。

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