日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨハンセン輝石」の意味・わかりやすい解説
ヨハンセン輝石
よはんせんきせき
johannsenite
マンガンを主成分とする輝石の一種で、灰鉄輝石、透輝石と固溶体をつくる。天然で産出するヨハンセン輝石は、理想化学成分に非常に近いものと、鉄やマグネシウムに富むものとにほぼ二分され、化学的不連続性が存在している可能性が大きい。理想化学成分に近いものは、あまり高温でない変成作用を受けたマンガン鉱床あるいは低温熱水鉱床中から、ばら輝石、石英、含マンガン方解石などと産する。岡山県大名草(おおなぐさ)鉱山(閉山)、新潟県赤谷(あかたに)鉱山(閉山)、静岡県河津(かわづ)鉱山(閉山)などに知られる。分解して黒褐色になるほか、しばしば含マンガン方解石あるいは含カルシウム菱(りょう)マンガン鉱に置換されている。英名はアメリカのシカゴ大学の地質・岩石学者ヨハンセンAlbert Johannsen(1871―1962)にちなむ。
[松原 聰]