改訂新版 世界大百科事典 「ラーキン」の意味・わかりやすい解説
ラーキン
Philip Arthur Larkin
生没年:1922-85
イギリスの詩人。オックスフォード大学卒業。処女詩集《北の船》(1945)はディラン・トマス的,〈新黙示録〉派的な華麗な修辞を欠いており,この消極的特徴によって,当時の詩壇で注目される。T.ハーディの詩の影響のもと,肩を張らずに身辺の事物や人間を歌う詩風を身につけ,これを深めることによって,第2詩集《迷いさめて》(1955)の円熟に到達した。1950年代の新詩風を決定したといわれるR.コンクエスト編の《新詩集》(1956)に選ばれ,いわゆる〈ムーブメント〉派の代表と目されるに至った。第2詩集中の〈教会に行く〉や,《聖霊降臨祭の婚礼》(1964)といった代表作は,日常性,諧謔,皮肉,瞑想など,彼の特色をよく示している。ほかに《爆発》(1970),《高い窓》(1974)などの詩集,また若書きの小説《ジル》(1946),《冬の娘》(1947)の2作がある。
執筆者:高橋 康也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報