(読み)リョウ

精選版 日本国語大辞典の解説

しぬ・ぐ【凌】

〘他ガ四〙 (現在、「の」の甲類万葉仮名とされている「怒」「努」「弩」などを「ぬ」とよんだところからできた語) =しのぐ(凌)
天降言(1771‐81頃か)「足引石間(いはま)をしぬぎわく水の落ちたぎち行く風のすずしさ」

しのぎ【凌】

〘名〙 (動詞「しのぐ(凌)」の連用形の名詞化)
① 困難なことや苦しみなどをがまんして切りぬけること。また、その方法や手段。
※蓮如上人御一代記聞書(16C後)末「往生は一人のしのきなり。一人々々仏法を信じて後生をたすかる事なり」
滑稽本浮世風呂(1809‐13)四「別しておまへ様は御肥満でお出なさるから、お暑(あつさ)のお凌(シノギ)はお大体(たいてい)様ではござりますまい」
② 囲碁で、攻められた場合、最強の抵抗をするか、うまくかわすかして、主力の石を生かしたり、脱出したりすること。

しの・ぐ【凌】

〘他ガ五(四)〙
① 押しふせる。下に押えるようにする。おおいかぶせる。なびかす。
※万葉(8C後)八・一六五五「高山の菅の葉之努芸(シノギ)降る雪の消(け)ぬとか言はも恋の繁けく」
② 障害物などを押しわけ、押しつけるようにして進む。
(イ) 押しわける。かきわける。
※万葉(8C後)八・一六〇九「宇陀の野の秋萩師弩芸(シノギ)鳴く鹿も妻に恋ふらく我れには益(ま)さじ」
(ロ) のりこえて進む。山、波などをのりこえる。
※万葉(8C後)一〇・二〇八九「秋風の 吹き来る夕(よひ)に 天の河 白波凌(しのぎ) 落ちたぎつ 早瀬渡りて」
(ハ) 特に困難なことをのりこえる。のりきる。
※宇津保(970‐999頃)あて宮「よろづのゆゑさはりをしのぎて思ひたち給へる御まゐり」
(ニ) たえる。我慢する。また、たえしのんでもちこたえる。
※山家集(12C後)下「雪しのく庵のつまをさし添へて跡とめて来ん人を止めん」
※浮世草子・好色五人女(1686)四「腰簑身にまとひ一夜をしのぎける」
③ あなどる。見くだす。圧倒する。
※書紀(720)神武即位前(北野本室町時代訓)「村(ふれ)に君(きみ)あり、長(ひとこのかみ)有りて谷に自(みつか)ら疆(さかひ)を分ちて用(も)て相(あひシノキきしろふ)
※霊異記(810‐824)上「其の村の童女等皆心を同じくして、凌(シノキ)(あなづり)て曰はく、〈興福寺本訓釈 凌 之乃支〉」
④ (困難にたえて)苦労する。努力する。
※毎月抄(1219)「それをよまんよまんとしのぎ侍れば」
⑤ 程度などが他よりすぐれる。まさる。凌駕する。
※玉塵抄(1563)五五「相徉、雲をしのいで心の高うあがった心ぞ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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