ロカイユ(読み)ろかいゆ(英語表記)rocaille フランス語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロカイユ」の意味・わかりやすい解説

ロカイユ
ろかいゆ
rocaille フランス語

美術用語。岩を意味するrocから派生したことばで、17世紀のフランスでは庭園人工洞窟(どうくつ)の内壁噴水の水盤に施された、石やサンゴ、そして貝殻によるイタリア起源の装飾を意味した。しかし18世紀になると、貝殻の形に想を得た装飾モチーフの名称となる。ルイ15世時代とルイ16世時代の初め(1720年代~70年代)にとくに愛好され、このモチーフは古典主義の原則に反発するかのように、非対称形態を求めて自由自在に変形される。この特色が同時期の芸術表現全般に認められることから、この時期の芸術をロカイユ様式の名で総称することもある。このモチーフを広めた代表的な芸術家はブーシェ、ジュスト・オレール・メソニエ、ピノーである。

[上村清雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロカイユ」の意味・わかりやすい解説

ロカイユ
rocaille

貝殻,小石などのモチーフを特徴とするヨーロッパの 18~19世紀の装飾様式。フランスのルイ 15世治下に盛んであったロココ様式の卓越した側面を代表するもので,硬直したバロック様式に対する反動と,自然および自然科学に対する新しい関心から生れた。本来は,後期ルネサンスの庭園に造られた人工の小さなほら穴の貝細工を意味したが,19世紀初頭から優雅な曲線による左右不相称の貝殻文様の装飾モチーフを意味するようになった。ロココ装飾に不可欠な要素であり,ロココという名もこれに由来するといわれる。

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