改訂新版 世界大百科事典 「ワライカワセミ」の意味・わかりやすい解説
ワライカワセミ (笑翡翠)
laughing kookaburra
Dacelo novaeguineae
ブッポウソウ目カワセミ科の鳥。大型のカワセミで,人間の笑い声のような声で鳴くのでよく知られている。全長約65cm。頭央部と過眼線,背,翼の大部分などは灰褐色で,雨覆の一部は灰青色である。胸腹部は白い。尾羽の大部分は褐色で黒い横帯がある。羽色は雌雄ほぼ同色。オーストラリア東部に分布し,西オーストラリア,タスマニア,カンガルー諸島に移入されている。開けた森林やサバンナに生息し,人家近くの林でもよく見られる。この鳥は水辺からかなり離れたところにもすみ,枝にとまっていて獲物を見張り,地上にいる昆虫類,小型の爬虫類や両生類,鳥類の雛,小型の哺乳類などを,強大なくちばしで捕食する。ワライカワセミは一生涯同じ2羽がつがいで生活している。巣は樹洞やシロアリの巣につくり,1腹3個の卵を産む。巣立ちした幼鳥は,長い場合には4歳くらいまで,親鳥といっしょに生活を続け,その間,親鳥の繁殖を手伝い,抱卵,育雛(いくすう)を分担する。
執筆者:安部 直哉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報