アイロン

デジタル大辞泉 「アイロン」の意味・読み・例文・類語

アイロン(iron)

《鉄の意》
布や衣服に押し当てて熱を伝え、しわを伸ばし、形を整える金属製のこて。現在は、電気アイロンが普通。
整髪用のこて。
[類語]火熨斗

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精選版 日本国語大辞典 「アイロン」の意味・読み・例文・類語

アイロン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] iron 「鉄」の意 )
  2. 衣類などの、しわを伸ばしたり、形を直したりするのに用いる鉄製の道具。今ではほとんど電気で熱するようになったが、昔は炭火で熱して使い、「西洋ひのし」「洋ごて」などといった。
    1. [初出の実例]「アイロン 火熨斗又は鉄 Iron (英)洋服裁縫等に用ゐる鏝即火熨斗のことを云ひ」(出典:舶来語便覧(1912)〈棚橋一郎・<著者>鈴木誠一〉)
  3. 調髪用のこて。

アイロンの語誌

( 1 )英語 smoothing iron の省略形 iron の日本語形。
( 2 )ゴルフクラブの「アイアン」は、「アイロン」とその原語を同じくするが、杉村楚人冠一八七二‐一九四五)の「山中説法」の「アイロンが火のしで、アイヤンがゴルフの道具である」という記述などを見ると、ゴルフの専門用語としては、早くからこの形が定着していたものと考えられる。

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改訂新版 世界大百科事典 「アイロン」の意味・わかりやすい解説

アイロン

英語ironのなまったもので,鉄の意。衣服類のしわ伸ばしや形なおしに用いる道具。火熨斗(ひのし)やこても用途は同じ。日本では古くから敷きのしや寝おしが行われ,火熨斗やこての使用は平安時代の《和名抄》にみられる。《大鏡》には侍女が火熨斗を用いて大臣の夜具を暖めたとあるが,衣服類のしわ伸ばしに利用されたかどうかはさだかでない。江戸時代になると洗濯の仕上げに用いられるようになったと思われ,《浮世風呂》には,下女が火熨斗がけの失敗を戒められたことが記されている。アイロンは江戸末期に輸入され,当時の浮世絵《横浜異人図絵》(一川芳員)には外人のアイロンがけが描かれている。明治中期には炭火アイロンが発達した。

 ヨーロッパでは16世紀に流行したひだ襟の型づけのため鉄製のこてが考案され,その後改良が加えられて,火塊や熱した鉄を収容して熱源としたり,暖炉の上で加熱するアイロンがつくられた。1850年代には天井からガス・チューブでつながれたガスアイロンが考案された。1900年ころ,電気アイロンが登場し,メーカーは汗だくの重労働からの解放を訴えかけた。日本では15年に国産化され,27年ころ安価な製品の登場を契機に普及しはじめた。第2次大戦後は温度調節が可能な自動アイロンが繊維の多様化に伴って普及,58年にはスチームアイロンが売り出された。

水分と熱により高分子である繊維の分子間の結合を弱め,分子を動きやすくし,それに圧力を加えて変形させ,しわを伸ばしたり,折り目をつけたりすることがアイロンがけである。アイロン効果に及ぼす影響は水分,温度,時間,圧力(重さ),あて布の有無などがあげられる。親水性の繊維は水分を吸収して膨潤するので水分を含ませるのが効果的だが,疎水性合成繊維ではあまり必要ない。温度は高いほど効果が大きいが,繊維の耐熱性を考慮しなければならない。あて布をすると約10℃下がる。濃色の物や毛製品に生じる〈てかり〉は,水分,熱,圧力により,繊維表面の凹凸が扁平化するためで,あて布をし,裏から短時間にかけると防げる。
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百科事典マイペディア 「アイロン」の意味・わかりやすい解説

アイロン

電気アイロンの普及以前,衣料などのしわをのばすには,火熨斗(ひのし)や鏝(こて)を用い,熱源は炭火であった。電気アイロンは1900年ごろ登場,1958年にはスチームアイロンが売り出された。現在ではコードレス・アイロンも開発されている。

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