アジア開発銀行(読み)あじあかいはつぎんこう(英語表記)Asian Development Bank

日本大百科全書(ニッポニカ)「アジア開発銀行」の解説

アジア開発銀行
あじあかいはつぎんこう
Asian Development Bank

略称ADBアジア・太平洋地域における開発途上国の経済開発を促進し、貧困の減少を目的に設立された国際的な地域金融機関。1963年のECAFE(エカフェ)(アジア極東経済委員会)閣僚会議で設立構想が具体化され、1965年12月フィリピンのマニラで設立協定が採択され、1966年12月に業務を開始した。本部所在地はマニラで、2007年現在の加盟国は67か国(域内48、域外19)である。歴代の総裁を日本人が務めている。開発資金の融資、域内各国の経済計画の政策調整や支援、国際通貨基金(IMF)や世界銀行などの国際機関との開発協力、技術援助、および域内の公私の資本による開発投資の促進などを行う。資金は、加盟国からの拠出資本金と借入金とからなる通常資金と特別拠出金による特別基金(アジア開発基金、技術援助特別基金)とに大別される。融資は開発を目的とする公共投資の比重が高く、部門的には農業、エネルギー、運輸・通信などが多い。 これまでは経済成長が域内の貧困の減少に寄与してきたが、2008年の食料や原油価格の高騰、そしてその後の世界的不況が貧困削減のペースを緩慢にしている。また、域内の国内や国家間の格差拡大により、地域の発展や安定を損なうおそれが出てきているが、ADBは長期的戦略指針として、包括的成長、環境に配慮した持続可能な成長、地域統合の三つをあげている。

[秋山憲治]

『アジア開発銀行著、吉田恒昭監訳『アジア変革への挑戦』(1998・東洋経済新報社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「アジア開発銀行」の解説

アジア開発銀行
アジアかいはつぎんこう
Asian Development Bank; ADB

アジア地域の諸国に開発資金を融資する国際銀行。1965年11~12月の第2回アジア経済協力閣僚会議での ADB協定採択に基づき 1966年11月に設立,同年 12月にフィリピンのマニラの本店で業務を開始。アジア,太平洋諸国の経済協力を促進すること,低利,長期融資によって加盟発展途上国の経済的,社会的開発の促進に寄与することを目的とし,国際復興開発銀行(世界銀行)などと協調融資も行なう。原加盟国は日本を含む域内 18ヵ国と 1地域,アメリカ合衆国,ドイツ連邦共和国(西ドイツ)など域外 12ヵ国であったが,その後インドネシア,フランスなどが新規加盟し,2012年現在の加盟国数は域内 47ヵ国と 1地域,域外 19ヵ国,合計 66ヵ国と 1地域である。日本は最大出資国の一つで,日本特別基金も設けられている。活動財源には,通常の貸し付けを行なう通常資本財源,緩和された条件での貸し付けを行なうアジア開発基金(1974.6.発足)があり,ほかに技術援助特別基金などもある。主要借入国は中国,インド,パキスタンで,技術援助ではベトナム,インドネシア,パキスタン向けが多い。部門別の貸し付けは,エネルギー,運輸・通信,法律・経済運営・公共政策が多い。

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百科事典マイペディア「アジア開発銀行」の解説

アジア開発銀行【アジアかいはつぎんこう】

略称ADB(Asian Development Bank)。ESCAP(エスキャップ)加盟国間の協定に基づき1966年発足。アジア地域の開発のための資金援助,開発プロジェクトの策定,実施のための技術援助や環境ガイドラインの策定も行う国際機関。本部はマニラ。日本および域外加盟国は出資のみ。1994年の第4次増資で応募資本金は約500億ドル。1999年,従来の開発中心の運営方針を貧困削減最重点に転換することを表明。加盟国は域内41ヵ国・地域,域外16ヵ国(1999)。最大の出資国は日本。
→関連項目日本メコン総合開発

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知恵蔵mini「アジア開発銀行」の解説

アジア開発銀行

アジア・太平洋地域における貧困削減を目指す、67の国と地域からなる国際開発金融機関。1966年12月19日に設立、マニラに本部が置かれており、世界26カ所に事業所がある。最大の出資国は日本と米国で共に出資比率15.7パーセントを占め、歴代総裁はすべて日本人が就任している。主な事業は、開発途上加盟国に対する資金の貸付、技術支援・助言業務、開発目的のための公的・民間支援の促進、開発途上加盟国の開発政策調整支援などで、毎年およそ60億ドルを融資している。

(2013-2-27)

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精選版 日本国語大辞典「アジア開発銀行」の解説

アジア‐かいはつぎんこう ‥カイハツギンカウ【アジア開発銀行】

(Asian Development Bank の訳語) アジアの経済開発促進のための国際的な金融機関。一九六〇年設立。本店所在地マニラ。略称ADB。

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デジタル大辞泉「アジア開発銀行」の解説

アジア‐かいはつぎんこう〔‐カイハツギンカウ〕【アジア開発銀行】

Asian Development Bank》1966年、アジアの経済開発促進を目的として設立された国際銀行。本店はマニラ。ADB。

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世界大百科事典 第2版「アジア開発銀行」の解説

アジアかいはつぎんこう【アジア開発銀行 Asian Development Bank】

アジアおよび大洋州地域の開発途上国の経済開発を促進するため,融資および技術援助を行うことを目的として設立された国際金融機関。略称ADB。本部マニラ。1963年,ECAFE(エカフエ)(〈ESCAP(エスキヤツプ)〉の項参照)閣僚会議で設立構想が具体的に打ち出され,65年マニラで設立協定が採択され,66年8月に発効した。加盟国は56ヵ国で日本をはじめ欧米先進国を含むが,援助の対象となるのは域内途上国である。

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世界大百科事典内のアジア開発銀行の言及

【経済協力】より

…OECD(経済協力開発機構)の下部機構)が結成されている。また世界銀行や地域開発銀行(アジア開発銀行アフリカ開発銀行米州開発銀行)が,先進国の出資金やみずから国際金融市場で債券を発行して得た資金をもとに,途上国に融資を行っているが,これは通常,多国間援助multilateral assistanceといわれる。先進国から発展途上国への資金の流れを援助主体別にみると,その大宗を占めるのはDAC加盟諸国である(1970年代の実績で全体の約8割)が,共産圏諸国(ソ連や中国)や産油国も援助供与を行っている。…

※「アジア開発銀行」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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