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アセチレン acetylene

翻訳|acetylene

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アセチレン
acetylene

化学式 HC≡CH 。無色,毒性のある気体。カルシウムカーバイドから得られる。不純なものは悪臭があるが,純粋なものはエチルアルコールに似た芳香をもつ。沸点-83.6℃,常温で水には体積でほぼ1:1に溶け,アセトンにはよく溶ける。三重結合をもつので付加反応や重合反応を起しやすい。たとえば水を付加しアセトアルデヒドハロゲン化水素を付加し塩化ビニルやフッ化ビニルとなり,これらは合成樹脂合成繊維の原料となる。さらにレッペ反応により種々の形式の化合物に誘導される。また,三重結合をもつ炭素に結合している水素は金属で置換され,金属アセチリドとなりやすい。酸素アセチレン炎として金属溶接や溶断に利用されるばかりでなく,有機合成原料として大量消費される。

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百科事典マイペディアの解説

アセチレン

化学式はHC≡CH。無色可燃性気体。融点−80.8℃,沸点−84.0℃。水に可溶,有機溶媒に易溶。純粋のものは無臭。化学反応性に富み,ハロゲン,ハロゲン化水素,水,シアン化水素などと付加化合物をつくる。
→関連項目ガス化学工業カーバイド石炭化学石炭化学工業

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世界大百科事典 第2版の解説

アセチレン【acetylene】

三重結合をもつ不飽和鎖式炭化水素(アルキン)のうちで最も簡単なもの。化学式HC≡CH。1836年にイギリスのH.デービーによって初めて見いだされた。工業的には,カルシウムカーバイド(カーバイド)から製造されるか,または石油の高温熱分解法によって製造される。おもな用途は,灯火用,溶接用,合成化学原料などである。
[性質]
 常温・常圧下では無色,無臭の可燃性の気体で,沸点-83.6℃。カーバイドに水を加えて発生させたアセチレンは,微量の不純物を含むため特異な臭気をもっている。

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大辞林 第三版の解説

アセチレン【acetylene】

可燃性の無色の気体。化学式 C2H2 炭化カルシウム(カーバイド)に水を注ぐと生じるが、このとき微量の不純物を含むため特有の匂いがある。工業的には天然ガス・ナフサを高温で分解してつくる。燃焼時に高温を出すので、照明・溶接・切断に利用する。合成樹脂・合成繊維・合成ゴムなど多くの有機化合物を合成する化学工業原料として重要。エチン。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アセチレン
あせちれん
acetylene

アルキン(アセチレン系炭化水素)のもっとも簡単なもの。正式な命名法に従うと、エチンethyneというが、慣用名のアセチレンが頻用される。天然には存在せず、1836年イギリスの大化学者H・デービーのいとこであるデービーEdmund Davy(1785―1857)により発見された。
 無色で純粋なものは無臭の気体。元来は炭化カルシウム(カルシウムカーバイド、生石灰を無煙炭またはコークスと電気炉中で加熱して製造)に水を作用させて製造した。この方法で得られるアセチレンは不純物のため悪臭を有する。現在、工業的には天然ガスやナフサなど石油からの炭化水素を高い温度で熱分解して製造する。その分子は次のような直線状の構造をとる。

炭素‐炭素三重結合の間隔は二重結合よりも短く、またそれに結合する水素との結合間隔もエチレンの場合のそれよりも短い。
 常温ではほぼ同体積の水にしか溶解しないが、アルコールやベンゼンなどの有機溶媒には溶け、とくにアセトンにはよく溶ける。アセチレンは高圧で分解しやすいため、珪藻土(けいそうど)にしみ込ませたアセトンに加圧して溶かし、ボンベで運搬する。
 アセチレンは燃焼すると発熱量が大きいので、酸素と混ぜて酸素アセチレン炎として、鉄の溶接や切断に用いる。また空中で点火すると、輝きの強い炎で燃えるので、夜店などでアセチレンランプとして用いられる。しかし、アセチレンの酸素または空気との混合ガスはきわめて爆発しやすいので、取扱いには充分の注意が必要である。アセチレンが空気中に2.5~81%含まれていると爆発する。
 アセチレンは三重結合をもつので、付加や重合をおこしやすい。水と付加すればアセトアルデヒドを生じる。ハロゲンやハロゲン化水素と付加して1,2-ジハロエチレンや塩化ビニルなどのハロゲン化オレフィンを生ずる。また適当な触媒を用いてアセチレンを加圧下で反応させるレッペ反応により、さらに多くの付加反応を行うことができる。アセチレンの水素原子は酸性であるので、金属で置換されやすく、金属アセチリドを生ずる。しかし、銀や銅などの重金属のアセチリドは爆発性である。
 かつて石炭を利用していたころには、石炭を原料として、安価な電力を用いてカーバイドを生産し、これからアセチレンを製造し、それを原料として合成繊維やプラスチックを製造する工業が盛んであり、そのための工場も電力、石炭、石灰石を得やすい場所に立地した。1950年代、アセチレンに水を付加させてアセトアルデヒドを製造する工程で、触媒として用いた水銀化合物が環境の深刻な汚染をもたらした。しかし、現在では石油化学工業の発達に伴い、エチレンにとってかわられた。[徳丸克己]

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世界大百科事典内のアセチレンの言及

【ガス化学工業】より

…ガスを原料とする化学工業のことであるが,一般には,天然ガスを原料として有機化学工業の中間原料であるメタノール(メチルアルコール),アセチレンアンモニアなどを製造する分野をいう。ガス化学工業という分類は日本特有のものである。…

※「アセチレン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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