イタリア,バルカンの両半島に挟まれた地中海の内海。オトラント海峡によって南のイオニア海と隔てられている。北部は比較的浅い(100~200m)が,南部では1000mを超える所がある。バルカン半島側は,海岸線が複雑で,沿岸に無数の島が見られるのに対し,イタリア側は概して単調で自然の良港に乏しい。また広大なデルタ地帯を形成しているポー河口以北では,ベネチア周辺のように,河川が運ぶ土砂の堆積によるラグーンが発達している。メッシナ海峡が激しい潮流を伴うため,この海域は古来ローマと東地中海地域とを結ぶルートとして重要視された。とくに11世紀以降はベネチア共和国が制海権を獲得し,東方貿易の舞台としてにぎわい,ベネチア湾と呼ばれたこともあったが,インド航路発見とともに重要性が薄れた。ベネチア没落以後は,トリエステを軍港とするオーストリア帝国が主導権を握り,トルコ帝国とにらみ合った。その後,局地的沿岸交易の場に甘んじてきたが,近年,沿岸の工業化,観光地化によって再び活況を呈しつつある。
執筆者:萩原 愛一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
…地質学的なタイム・スケールからみれば,ジブラルタル海峡は狭められつつあるということができる。現在の地中海のおよその輪郭は第三紀に形づくられ,アルプス造山運動による周辺山地の形成,アドリア海の形成,ギリシアと小アジアの間の沈降によるエーゲ海の形成などがこれに相当する。地中海地域各地に地震帯が多く,また火山活動が活発なのも,このような地質学的に最近の地殻運動を物語っている。…
※「アドリア海」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
突発的に発生し、局地的に限られた地域に降る激しい豪雨のこと。長くても1時間程度しか続かず、豪雨の降る範囲は広くても10キロメートル四方くらいと狭い局地的大雨。このため、前線や低気圧、台風などに伴う集中...