アナン(読み)あなん(その他表記)Kofi Atta Annan

デジタル大辞泉 「アナン」の意味・読み・例文・類語

アナン(Kofi Atta Annan)

[1938~2018]ガーナ外交官政治家。1962年国連事務局に入る。WHO世界保健機関)やUNHCR国連難民高等弁務官事務所)などの業務を経て、1997年には第7代国連事務総長就任。2001年、人権保護活動や国際テロ防止への取り組みなどが評価され、国際連合とともにノーベル平和賞受賞。2006年、任期満了により国連事務総長退任

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アナン」の意味・わかりやすい解説

アナン
あなん
Kofi Atta Annan
(1938―2018)

第7代国際連合(国連)事務総長。ガーナ共和国クマシ市に生まれる。同市の科学技術大学、アメリカ・マカレスター大学経済学部を卒業、ジュネーブ国際高等大学大学院(経済学)で学び、1962年国連事務局に入る。1971~1972年マサチューセッツ工科大学(MIT)の特別研究員となり、経営学修士号を取得。国連では、ジュネーブの世界保健機構(WHO)、アジスアベバのアフリカ経済委員会、国連難民高等弁務官事務所などで、管理、予算、財務人事を担当し、本部事務局では人事部長、予算部長を経て、人事管理官担当事務次長補、計画立案・予算・財政担当事務次長補を務め、1993年国連平和維持活動担当事務次長。この間、1990年湾岸戦争の際、イラクへ派遣され人質解放などの交渉にあたり、旧ユーゴスラビア担当国連特別代表も務めるなど、紛争地域に数多く派遣され解決に努力した。1997年1月1日、初めての事務局出身の事務総長に就任。2001年、国連とともにノーベル平和賞を受賞した。2002年再任。国連の能力向上、平和維持のための予防外交官僚主義を排し国連を市民に近づけることなどを強調し、2006年12月までの任期を務めた。

[藤井宏志 2018年8月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アナン」の意味・わかりやすい解説

アナン
Annan, Kofi

[生]1938.4.8. ゴールドコースト,クマシ
[没]2018.8.18. スイス,ベルン
ガーナの国際公務員国際連合職員。国連事務総長在任 1997~2006)。フルネーム Kofi Atta Annan。クマシの科学技術大学で学んだのち,アメリカ合衆国に留学。ミネソタ州セントポールのマカレスター大学経済学部を 1961年に卒業。次いでジュネーブ国際高等大学大学院で経済学を専攻,1962年国連に入り,ジュネーブの世界保健機関 WHOの行財政担当官となったのをはじめ,世界各国の国連の関連機関で勤務。その間,1972年マサチューセッツ工科大学で経営学修士号を取得。1993年より平和維持活動担当事務次長として,国連が国際的な平和・安全保障領域における新しい任務を担えるように尽力。1997年,国際公務員から初めて国連事務総長となる。人権擁護,エイズ対策,テロ対策(→テロリズム)を強力に推進し,2001年国連とともにノーベル平和賞を受賞した。イラク戦争には一貫して反対し,2003年に安全保障理事会決議を経ずに武力行使を行なったアメリカを繰り返し批判した。

アナン
Anan ben David

8世紀頃のバビロニアのユダヤ教禁欲主義哲学者。アナニテス派の創設者。のちのカライ派の創設者とも考えられている。彼はタルムード主義のもとで教育を受けたにもかかわらず,伝統的なタルムードの立場を退け,聖書のみを唯一の神の律法であるとし,そこに戻ることを主張した最初の人といわれる。9世紀後半には,ラビから邪教とみなされたが,10世紀にはカライ派真正ユダヤ教に吸収され,彼は「真正ユダヤ教徒の父」と呼ばれた。

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百科事典マイペディア 「アナン」の意味・わかりやすい解説

アナン

ガーナの国際外交官。国連事務総長。科学技術大学卒。1959年から米国ミネソタ州のマカレスター・カレッジ留学などを経て,1962年世界保健機関(WHO)行財政担当官。国連本部事務局予算部長,行財政局財務官などを歴任。1993年3月平和維持活動担当事務次長(いわゆるPKO局長)に就任。1995年11月には明石康の後を継いで旧ユーゴ問題担当事務総長特別代表となる。ガリ前事務総長の後を受けて,1997年1月第7代国連事務総長に就任,初の国連生え抜きの事務総長となった。2001年,2期目に再選,2006年12月,任期満了のため退任。2001年ノーベル平和賞。
→関連項目国際連合潘基文

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