アルカイオス(英語表記)Alkaios

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アルカイオス
Alkaios

[生]前620頃.レスボス島,ミチレネ
[没]前580頃
ギリシアの抒情詩人。女流詩人サッフォーと同郷同時代貴族の家に生れ,兄たちとともに貴族派の闘士として民衆の政治的要求に対抗,また僭主打倒の企てに加担した。前 600年頃対アテネ戦に参加して敗れた。戦後政権を握ったピッタコスと不和になり,追放されてエジプトなど各地で傭兵として暮し,前 580年頃許されて帰国。現存する詩には宗教祭祀詩のほかに宴席の歌が多く,酒と少年愛と党派心と戦争を内容とし,特に政治的な歌は激情に満ちている。サッフォーにあてた詩もある。ローマ文学,特にホラチウスに与えた影響が大きい。

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世界大百科事典 第2版の解説

アルカイオス【Alkaios】

前600年代後期から前500年代前期にかけて,レスボス島ミュティレネを舞台に活躍した政治家,抒情詩人。生没年不詳。彼の詩集は前2世紀アレクサンドリアで校訂編集された際には10巻を満たし,《賛歌集》《内乱歌》などに分類されていたようであるが,これらは中世写本となって伝わらず,20世紀に至るまではわずかな引用断片と政治家アルカイオスの動向に断片的に言及した古代の文筆家たちの記述,そしてアルカイオスの詩形を範としたホラティウスの《歌集》などから,その全容がうかがわれるにすぎなかった。

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大辞林 第三版の解説

アルカイオス【Alkaios】

前620頃~?) 古代ギリシャの抒情詩人。同じくレスボス島の人で、ほぼ同時代の女流詩人サッフォーと並び称せられる。政治・酒・恋などの歌や神々の賛歌を作ったが、断片のみ残る。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アルカイオス
あるかいおす
Alkaios

生没年不詳。紀元前600年前後に活躍したギリシアの叙情詩人。レスボス島のミティレネに生まれる。同時代で同郷の女流詩人サッフォーと並ぶ代表的詩人。前7世紀末のレスボス島は内乱と政争に明け暮れていたが、アルカイオスは貴族派に属してこれに積極的に参加した。しかし内乱を平定した政敵のピッタコスが権力を手中に収めるや(前590~前580)、彼の政治活動は失敗に終わった。その後、亡命して各地の君主に仕えたり、エジプト旅行も伝えられているが、これはピッタコスによる二度目の追放中のことであったらしい。
 詩集は10巻にまとめられていたが、断片以外は残っていない。その詩は、政治詩、神々への賛歌、英雄伝説を扱った詩、恋愛詩、酒の歌の5種に分類される。詩人としての個性がもっともよく発揮されているのは政治詩であって、政敵に対する憎悪と呪詛(じゅそ)を腹蔵なく吐露している。これに比べて、神々や英雄に関する歌は平凡である。酒の歌は宴会で歌われ、酒に託して生活の苦労を忘れようというもので、公的性格の強い政治詩とは違って、日々の詩人の内面がすなおに表現されていて興味深い。彼がよく用いた詩形と韻律は、ローマの詩人ホラティウスに愛好された。[橋本隆夫]
『呉茂一訳『ギリシア抒情詩選』(岩波文庫)』

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世界大百科事典内のアルカイオスの言及

【ギリシア文学】より

…スパルタのアルクマンはアルテミス女神をことほぐ乙女たちの歌を,シチリア島ヒメラの詩人ステシコロスは抒情詩の形による叙事物語を,レスボス島の女流詩人サッフォーは情熱的な恋の歌を,おのおの地方色の濃い題材と方言とを織り交ぜながら歌っている。この時代の抒情詩文学においては,時と場所が課する要請と,歌い手の詩人自身の個性とが不可分の一体を成している場合も多く,アルカイオスのように政治と自分と酒の歌とが一つに歌われているものもある。またこの時期に各地の僭主たちの宮廷に招かれて宴席に華をそえたイビュコスやアナクレオンのような耽美的詩人たちも現れている。…

【詩】より

…これら英雄や神々の物語とは別に,庶民の日常生活に根ざしたヘシオドス(前700ごろ)の《農と暦》や,神話伝説を整理した《神統記》もある。抒情詩を代表するのはアルカイオスと女流詩人サッフォー(ともに前7世紀)で,ついでアナクレオンが出るが,いずれも古くから伝わる独唱歌の様式を踏んでいる。他方,合唱歌の作者としてはシモニデス,ピンダロス(ともに前6世紀から前5世紀)があり,これは公式行事や祭儀で歌われた。…

※「アルカイオス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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