アルト(英語表記)〈イタリア〉alto

精選版 日本国語大辞典 「アルト」の意味・読み・例文・類語

アルト

〘名〙 (alto 「高い」の意。テノールよりも高いところからいう)
女声の最低音域本来は男性の最高音域を指す。→コントラルト
※埋木(1890‐92)〈森鴎外訳〉二「次高音(アルト)謡ひに向ひて」
② 四声部の音楽で上から二番目の声部。〔中等教育教科用楽典(1904)〕
同属の楽器の中で中音域を受け持つもの。アルトサックス、アルトクラリネット、アルトトロンボーンなど。
風俗画報‐三二二号(1905)人事門「サクサホーヌ(ソプラノ)(アルト一番、二番)」

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デジタル大辞泉 「アルト」の意味・読み・例文・類語

アルト(〈イタリア〉alto)

《高いの意で、テノールより音域が高いところから》
女声の最低音域。また、その声域の歌手。コントラルト。
楽曲で、上から2番目の声部。
同一属の楽器の中で、声のアルトに相当する音域をもつもの。アルトサックスなど。
[類語]ソプラノテノールバスメゾソプラノテナーバリトンソプラニスタカストラートカウンターテナー

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改訂新版 世界大百科事典 「アルト」の意味・わかりやすい解説

アルト
alto[イタリア]

ラテン語のaltus(高い)を語源とする音楽用語で,元来は,定旋律を担うテノールに対して〈高い〉声部contratenor altusの意で用いられた。これが省略されてコントラルトcontraltoとも呼ばれる。一般に,(1)4声作法において上から2番目の声部(ソプラノの下でテノールの上の声部),(2)女性の最も低い声種(図1)を指すことが多い。(3)器楽では,同族楽器中,人声のアルトに相当する位置を占める楽器(4度前後ソプラノ楽器より低い,またはテノール楽器より高いもの)をいう。たとえばアルト・クラリネット,アルト・フルートなど。フランスイタリアでは,バイオリン属ビオラを指す。吹奏楽では,特に金管楽器のアルト・サクソフォーンを指す。(4)高音部譜表の上方にはみ出たオクターブの音域を指す(図2)。たとえば〈C in alto〉は3点ハである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルト」の意味・わかりやすい解説

アルト
Alt, Albrecht Georg

[生]1883
[没]1956
ドイツの旧約聖書学者。 1913年,エルサレムのドイツ福音協会の指導者に任命される。 21~23年にかけて,エルサレムのドイツ福音コミュニティーを指導。グライバルト,バーゼル,ハレ,ライプニッツ各大学の旧約聖書学教授を歴任。イスラエルの歴史的背景の理解にすぐれたものがあり,イスラエルの政治史,行政史にも関心をもち,『イスラエルとエジプト』 (1909) をはじめとして,多くの著書がある。彼の歴史に対する科学的方法は,今日でも古代イスラエル史を学ぶうえに応用されている。キッテルの『ビブリア・ヘブライカ』の改訂 (37) にもたずさわっている。

アルト
alto

一般に声楽の女声低音域をさし,音域は普通ヘから1点ニあたりまで。コントラルト contraltoとも呼ばれ,ソプラノとテノールの間に位置する。また,フランス,イタリアでは弦楽器のビオラをさすほか,フルート,クラリネット,サクソフォーン,トロンボーンなどでアルトの音域を受けもつものをいう。

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百科事典マイペディア 「アルト」の意味・わかりやすい解説

アルト

音楽用語。低い音域の女性の声域または歌手のことで,コントラルトcontraltoともいう。元来はイタリア語altoの意味が示すように,高い音域の男声をさした。また4声部の合唱や和声づけでは,上から2番めの声部を呼ぶ。さらにビオラのように,これに当たる音域の楽器もアルトと呼ばれる。
→関連項目ダマリ

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デジタル大辞泉プラス 「アルト」の解説

アルト

スズキが1979年から製造、販売している軽自動車。5ドアハッチバックを中心とする。同社を代表する車種の一つ。

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音楽用語ダス 「アルト」の解説

アルト

女声のうち、低いパートのこと。

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世界大百科事典(旧版)内のアルトの言及

【ビオラ】より

…バイオリン属の中音楽器。ドイツ語ではブラーチェBratsche,フランス語ではアルトaltoという。バイオリンより完全5度低く調弦され,奏法は基本的にほぼバイオリンと同じである。…

※「アルト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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