アロフェン(読み)あろふぇん(その他表記)allophane

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アロフェン」の意味・わかりやすい解説

アロフェン
あろふぇん
allophane

重要な粘土鉱物で、土壌中に広く分布する。化学式はnAl2O3・mSiO2pH2Oで、nを1とするとmは1~2、pは2~3であるものが多いといわれている。温泉や地下水の沈殿物火山岩火砕岩(火山砕屑(さいせつ)岩)の分解物、金属鉱床二次鉱物(この産状のものでは、鉄、マンガン、銅などの重金属を含むことが多い)として普通に産する。魚卵状、皮殻状でガラス塊のようにみえるものから、数十オングストローム程度の直径をもつ球形粒子まである。名称は、吹管を用いると外観が変化するため、「異なってみえる」という意味のギリシア語に由来する。

松原 聰]


アロフェン(データノート)
あろふぇんでーたのーと

アロフェン
 英名    allophane
 化学式   nAl2O3・mSiO2・pH2O
 少量成分  Fe,Mn,Cu
 結晶系   非晶質
 硬度    約3
 比重    1.8~2.8
 色     白
 光沢    土状
 条痕    白
 劈開    無
       (「劈開」の項目を参照

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改訂新版 世界大百科事典 「アロフェン」の意味・わかりやすい解説

アロフェン
allophane

火山灰土壌中にひろく存在する特有の粘土鉱物で,化学的にはシリカアルミナの比が1~2の範囲にある水和物(1~2SiO2・Al2O3・2.5~3H2O)。ながく非晶質と考えられてきたが,ケイ素アルミニウムが不完全ながら一定の結合をした準晶質ともいうべきもので,単位粒子は外径35~55Åの中空ボール状の立体構造をもつことがわかってきた。火山灰土壌に特有の性質(有機物の多量の集積,リン酸保持能の大きさ,pHにより荷電が変化する性質,土の軽さ)をもたらしている原因物質の一つである。
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百科事典マイペディア 「アロフェン」の意味・わかりやすい解説

アロフェン

火山灰土壌に存在する特有の粘土鉱物。火山岩の変質物。直径3.5〜5.5nmの中空球状の粒子からなる。(図),比重1.8,白〜灰色,屈折率1.48。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アロフェン」の意味・わかりやすい解説

アロフェン
allophane

非晶質に近いカオリン族鉱物の一種。 SiO2・Al2O3nH2O 。比重 1.8~1.9。酸性の火山灰や軽石の陸上風化によって生じる。

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