アントラキノン染料(読み)アントラキノンセンリョウ

化学辞典 第2版「アントラキノン染料」の解説

アントラキノン染料
アントラキノンセンリョウ
anthraquinone dye

アントラキノンやアリザリンに関連した縮合多環キノン構造をもつ染料の総称.染色的には,媒染染料酸性媒染染料酸性染料分散染料カチオン染料建染め染料,および反応染料などに分類され,それぞれの分野で重要な地位を占めている.比較的簡単な構造で,深い色相が得られ,また,一般に色調は鮮明で,しかも諸堅ろう度,とくに日光堅ろう度のすぐれていることが特徴である.染料工業界において,アゾ染料とともに重要な分野を占めている.それらの化学構造は,建染め染料に属するものがもっとも複雑で,アシルアミノアントラキノンのような単純なものから,アントラキノンの1,9位において新しい核を形成しているピラントロンビオラントロンフラバントロン,ピラゾールアントロンなど,アントロン誘導体のものまできわめて広大な範囲にわたっている.以下にいくつかを例示する.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

百科事典マイペディア「アントラキノン染料」の解説

アントラキノン染料【アントラキノンせんりょう】

アントラキノン核を含む染料で,多くはアントラキノンから誘導される。日光や洗濯に強く,色調も豊か,鮮明な高級染料で,アゾ染料と並んで重要。化学構造としては,アントラキノン単環の分散染料および酸性染料,多環の建染染料がある。アゾ染料に比して高価なため,日本では全染料中の使用比率は低い。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)「アントラキノン染料」の解説

アントラキノン染料
あんとらきのんせんりょう
anthraquinone dyes

アントラキノン核を有する染料の総称。塩基性染料、酸性染料、酸性媒染染料、分散染料、バット染料、反応染料など、アゾ染料とともに染料の重要な部分を占めている。ことに1,4-ジアミノアントラキノン誘導体は小分子で青から緑に発色するので、深色の分散染料として重要である。アントラキノン核がきわめて安定であるので、一般に堅牢(けんろう)で高級な染料である。

[飛田満彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典 第2版「アントラキノン染料」の解説

アントラキノンせんりょう【アントラキノン染料 anthraquinone dye】

アントラキノンを出発原料として製造される染料で,一般に性能の優れた高級染料が多い。染色特性からみると,分散染料,酸性染料,建染染料などがおもなものであり,かつて用いられたアリザリン系の媒染染料は近年ほとんど使用されなくなった。化学構造としては,分散染料および酸性染料がアントラキノン単環なのに対し,建染染料は多環である。ポリエステル繊維を染める分散染料はアミノアントラキノン類が基本であるが,これにスルホン酸基が入ると羊毛を染める酸性染料となる。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

世界大百科事典内のアントラキノン染料の言及

【酸性染料】より

…このなかには染色性の優れた1:1型金属錯塩染料,1:2型金属錯塩染料が含まれる。アントラキノン染料は青,紫,緑などの深色系で,色は鮮明で堅牢であるが,着色力がアゾ系より劣りまた高価である。酸性染料は品種の多い部属であり,羊毛,絹,ナイロン等のポリアミド系繊維の染色に用いられるばかりでなく,紙,皮革の着色,さらにレーキ化して顔料にしたり,食用色素にも用いられる。…

※「アントラキノン染料」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

筍梅雨

《伊勢・伊豆地方の船乗りの言葉から》たけのこの出る陰暦4、5月ごろに吹く南東風のこと。湿気が多く、雨を伴うことが多い。筍流し。《季 夏》...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android