インメモリアム(読み)いんめもりあむ(その他表記)In Memoriam A. H. H.

デジタル大辞泉 「インメモリアム」の意味・読み・例文・類語

イン‐メモリアム(〈ラテン〉In Memoriam)

テニソン長詩。1850年刊。妹の婚約者でもあった親友の死を悼みつつ、17年間にわたって生と死の問題をめぐる作者の心の遍歴をうたったもの。

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精選版 日本国語大辞典 「インメモリアム」の意味・読み・例文・類語

イン‐メモリアム

  1. ( 原題[ラテン語] In Memoriam ) 長詩。イギリス詩人A=テニソン作。一八三三年から五〇年に発表。妹の婚約者でもある友人の死をいたみ、一七年にわたる、折にふれての感慨を書き続けた作。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「インメモリアム」の意味・わかりやすい解説

イン・メモリアム
いんめもりあむ
In Memoriam A. H. H.

イギリスの詩人テニソンの長詩。1850年刊。1833年に22歳で夭折(ようせつ)した友人A・H・ハラムArthur Henry Hallam(1811―1833)を追憶して、折に触れ書きつづった多くの短い叙情詩を、のちに一つの長詩にまとめたもの。詩人の魂が最初の悲哀絶望から徐々に抜け出して人間の永生を信じ、友の魂との交わりを経て、幸福と希望と神の愛への信仰に導かれるという「魂の経路」を描く。各節では折々の思考感情がときに彼特有の自然描写と結び付き、全体として美しい霊魂不滅の歌となっている。

戸田 基]

『入江直祐訳『イン・メモリアム』(岩波文庫)』

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改訂新版 世界大百科事典 「インメモリアム」の意味・わかりやすい解説

イン・メモリアム
In Memoriam A.H.H.

イギリスの詩人A.テニソンの代表作。制作1833-50年,出版1850年。ミルトンの《リシダス》やシェリーの《アドネイアス》に連なる哀悼詩。哀悼の対象は親友アーサー・ハラム(歴史家H.ハラムを父とし,非凡な才を嘱望されながら1833年22歳で夭折)。8音節4行のスタンザを用い,序詞,131の段落エピローグを連ね,死者に対する鬱屈した心情が,霊魂不滅と神への信仰に昇華されていく過程は,高度の抒情性に富む。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「インメモリアム」の意味・わかりやすい解説

イン・メモリアム
In Memoriam A. H. H.

イギリスの詩人 A.テニソンの詩。「A. H. H.を記念して」の意味。 1833年から執筆,50年完成,同年刊。 33年 22歳でウィーンに客死した親友 A. H.ハラムの死をいたみ,亡き友に対する愛惜の情の変化を,長い期間にわたって歌った追悼詩の連作である。大きな損失に直面した「魂の軌跡」の記録であり,死者に対して残された者がもつ喪失感,肉体をそなえた存在であってほしいという願いが,徐々に精神の内部で所有しているという確信となり,さらに神と人間に対する大きな愛へと変化する過程を歌っている。エピローグは妹セシリアの祝婚歌で,連作全体の明るい結びとなる。詩形は弱強4歩格4行,abbaと押韻するスタンザを連ねたもの。連続的ではあるが互いに独立した哲学的瞑想を盛る器として,この詩形のもつ可能性が十分に発揮されている。

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世界大百科事典(旧版)内のインメモリアムの言及

【テニソン】より

…《王女》(1847)は女子教育問題を提供したものの,一般には付随的で感動的な抒情短詩〈涙,いわれなき涙〉などが有名だった。50年には相愛のエミリーと結婚,1833年来,書きためてきた一大哀詩《イン・メモリアム》を刊行した。この詩は親友ハラムを失った個人的悲しみをこえ,信仰によって心の平和にたどりつく詩人の苦闘の哲学詩で,これにより桂冠詩人になった。…

※「インメモリアム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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