ウォートン(英語表記)Warton, Joseph

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ウォートン
Warton, Joseph

[生]1722.4.22. 〈洗礼〉サリー,ダンズフォールド
[没]1800.2.23. ハンプシャー,ウィッカム
イギリスの批評家。 T.ウォートンの兄,S.ジョンソンの友人。 1766~93年ウィンチェスター校の校長。広い知識と自由な判断力をもった批評家で,特に『ポープ論』 Essay on the Writings and Genius of Pope (2巻,1756,82) によって記憶されている。

ウォートン
Warton, Thomas

[生]1728.1.9. ハンプシャー,ベイジンストーク
[没]1790.5.21. オックスフォード
イギリスの文学史家,詩人。 J.ウォートンの弟。オックスフォード大学の詩学教授 (1757~67) ,歴史学教授を歴任,1785年には桂冠詩人となった。著作には『詩集』 Poems (77) ,11~18世紀末までを扱った最初の英文学史といわれる大著『イギリス詩史』 History of English Poetry (74~81) ,『神仙女王論』 Observations on the "Faerie Queene" of Spenser (54) などがある。イギリス・ロマン派の先駆者としての役割を演じたが,古典主義者 S.ジョンソンとも親交を結んでいた。

ウォートン
Wharton, Edith (Newbold)

[生]1862.1.24. ニューヨーク
[没]1937.8.11. パリ
アメリカの女流作家。裕福な家庭に生れ,1885年ボストンの銀行家と結婚したが,1913年離婚。 07年以降パリに住み,アメリカにはまれに帰国。 11歳の頃から創作に手を染めたといわれるが,『歓楽の家』 The House of Mirth (1905) で成功,以後『一国の慣習』 The Custom of the Country (13) ,『夏』 Summer (17) ,『無邪気な時代』 The Age of Innocence (20,ピュリッツァー賞) などがあるが,最も有名なのはニューイングランドにおける愛欲の悲劇を描いた『イーサン・フローム』 Ethan Frome (11) である。その他,評論集『小説作法』 The Writing of Fiction (25) ,自伝『来し方を顧みて』A Backward Glance (34) ,詩集,旅行記などがある。初期の作品には,H.ジェームズの影響が著しい。

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百科事典マイペディアの解説

ウォートン

米国の女性作家。ニューヨークの名家の出で,1907年以後はフランスに住む。上流社会に入ろうとして挫折する女性の悲劇《楽しみの家》(1905年)で名声を確立。ほかに《イーサン・フローム》(1911年),《イノセント・エイジ》(1920年,ピュリッツァー賞)等。

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世界大百科事典 第2版の解説

ウォートン【Edith Wharton】

1862‐1937
アメリカの女流作家。ニューヨークの裕福な家庭に生まれる。幼い頃からヨーロッパを旅行,結婚後アメリカとヨーロッパで社交生活を送り,1907年パリに移住,離婚後もヨーロッパに住んだ。離国作家の一人であり,ヨーロッパを背景にした作品も多いが,代表作では,19世紀後半のニューヨークやニューイングランドを扱い,個人の倫理感覚や心理を組み込んだ巧緻な風習小説をつくり出した。才気に満ちた美貌の女性が結婚への野心と真実の心の間をさ迷って死に至る《楽しみの家》(1905),ニューイングランドの農村に起こった厳しい愛憎の悲劇を描いた《イーサン・フローム》(1911),アメリカとフランスの風習の対比を扱った《一国の慣習》(1913),1870年代のニューヨークを風刺的に描いた《無邪気な時代》(1920),四部作《古きニューヨーク》(1924)など20冊余りの小説と,短編,詩,旅行記のほか,評論集《小説作法》(1925),回想記《過去を顧みて》(1934)がある。

ウォートン【Thomas Warton】

1728‐90
イギリスの詩人,文学者オックスフォード大学を出てから中世文学を深く研究し,その本質的ロマン性に共鳴することによって自己の文学活動をはじめた。《スペンサー作“神仙女王”の研究》(1754,増訂1762)も,当時の堅苦しい〈新古典主義〉の風潮に対し,もっと色彩豊かな詩的想像力の世界に立ち帰る姿勢を示している。彼は兄のジョーゼフとともにS.ジョンソンの〈文学クラブ〉に属したが,そこにはすでに次の時代のロマン主義的風潮が胚胎していたのである。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ウォートン
うぉーとん
Edith Wharton
(1862―1937)

アメリカの女流作家。ニューヨーク市の富裕な名門の出身で、家庭教師について学び、しばしばヨーロッパに渡り、晩年はパリで生活した。1885年にボストンの銀行家と結婚、やがて短編小説を書き始め、生涯にわたってこのジャンルを手がけた。最初の長編は、18世紀のイタリアを舞台にする『決断の谷間』(1902)であるが、パリで知り合ったH・ジェームズの勧めもあって、彼女がよく知るニューヨークの上流社会を題材とする作品を次々と発表することになった。その第一作『歓楽の家』(1905)は、社交界で金持ちの男と結婚しようとして破滅する女性の悲劇を描き、逆に『汚れなき時代』(1920)は、上流社会の因襲のとりこになっていく男の不幸を描き、この作品で女性としては初のピュリッツァー文学賞を受けた。『国の習慣』(1913)はアメリカとフランスを舞台に国際的テーマを扱い、有名な中編『イーサン・フローム』(1911)はニュー・イングランドの農村を舞台に愛欲の悲劇を描く。そのほか、小説作法を論ずる評論集、旅行記、自伝、多くの短編集、死後発表された未完の小説1編がある。[八木敏雄]
『佐々木みよ子著『戦慄と理性――イーディス・ウォートンの世界』(1967・研究社出版)』

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