ウコン(読み)うこん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウコン」の意味・わかりやすい解説

ウコン
うこん / 鬱金
turmeric
[学] Curcuma longa L.
Curcuma domestica Val.

ショウガ科(APG分類:ショウガ科)の多年草地下に太い根茎があり、直径3~4センチメートル、表面には輪状に節がある。この根茎から地上に葉が伸び立ち、高さ40~50センチメートルとなる。葉身は先のとがった楕円(だえん)形で、葉柄は長く、4~8枚が束状に出る。初秋に葉の間から20センチメートルほどの花茎が伸び、その先に花穂がつく。花穂は淡緑色で先が紫がかった包葉が鱗(うろこ)のように重なり、その中に黄色花が数個開く。根茎は香辛料のほか、黄色の染料をとるのに用いる。皮をむいた根茎を5~6時間煮て乾かし、粉末にしたものをターメリックという。これは鮮やかな橙黄(とうこう)色で、色で見せるスパイスといわれカレー粉の主原料の一つ。この黄色系色素はクルクミンcurcuminで、毒性のない色素として沢庵(たくあん)漬けやバター、チーズなどの着色に使われる。干した根茎は漢方で薑黄(きょうおう)といい、鼻血吐血の血止めに内服し、皮膚病や膿腫(のうしゅ)の塗り薬にする。健胃、強壮作用もある。原産地はインドで、日本には江戸時代に渡来し、薬用や観賞用として栽培された。高温多湿を好み、熱帯亜熱帯で広く栽培され、主産地はインド。日本では、暖地の九州や四国南部では栽培できるが、他の地域では戸外の越冬は困難であるため、秋に根茎を掘り上げ、乾燥を避けて暖所に貯蔵し、春に植え付ける。

[星川清親 2019年6月18日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウコン」の意味・わかりやすい解説

ウコン(鬱金)
ウコン
Curcuma longa; turmeric

ターメリックともいう。ショウガ科の多年草で,熱帯アジア原産。日本でも南西諸島や暖地で栽培される。高さ 50cmに達し,地下に黄色い多肉の根茎がある。葉はカンナに似て長く 40cmぐらいで2列に並んでつく。秋に,茎の上部に花穂を出し包葉に包まれた多数の黄色い花が咲く。根茎に含まれる黄色色素は染料,食品着色剤,香辛料,カレー粉の原料の一つにされ,また漢方薬として止血,健胃剤に用いられる。

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事典 日本の地域ブランド・名産品 「ウコン」の解説

うこん[根菜・土物類]

九州・沖縄地方、沖縄県の地域ブランド。
熱帯アジア原産のショウガ科の多年草。15世紀初めから16世紀後半の間に沖縄に持ち込まれた。新陳代謝を促す成分として、うこんに多く含まれるクルクミンが注目されている。

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世界大百科事典(旧版)内のウコンの言及

【カエデ(楓)】より

…また,新芽や紅葉の美しい清姫,玉姫,出猩々(でしようじよう)などの品種がある。新しい葉を観賞するものに春の芽出しが鮮紅色の赤地錦,千染(ちしお),出猩々,黄色く萌芽するうこん,葉先のみが紅になる爪柿(つまがき)などがある。錦と名の付いた品種は斑入葉が多く,錦葉ものともよばれ,斑入葉の鮮やかな変化を見る日笠山,織殿錦(おりどのにしき),小紋錦,限り錦などがある。…

※「ウコン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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