ウドムルト(読み)うどむると(その他表記)Udmurt

デジタル大辞泉 「ウドムルト」の意味・読み・例文・類語

ウドムルト(Udmurt)

ロシア連邦にある22の共和国の一。モスクワの東約900キロメートルの丘陵部に位置する。基幹民族フィン‐ウゴル系のウドムルト人だが、ロシア系が多数を占める。原油などを産し、重化学工業が盛ん。首都イジェフスク

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウドムルト」の意味・わかりやすい解説

ウドムルト(民族)
うどむると
Udmurt

ロシア連邦のウドムルチア共和国の主要な住民で、ウラル系ペルミ・フィン語派のウドムルト(ボチャーク)語を使用している。ボチャーク人Votyakともよばれていた。コミ(ジリヤン)人との共通の祖先であるペルミ人が中部ボルガ川地域に移住してきたのは8世紀ごろといわれているが、前者がさらに北(現在のロシア連邦コミ共和国)に移動したのに対して、彼らは13世紀なかばにタタール人の支配下に置かれるまで、この地のボルガル王国領内に暮らしていた。16世紀以降ロシア人に隷属するようになったが、居住地の土地が肥沃(ひよく)なために、単純で原始的な農法でも大麦エンバクなどの豊かな収穫が得られて、19世紀末まで住民のほとんどが農業によって生計をたてていた。家畜の飼育は家庭用に限られていたが、食生活にはビタミン類を多く含む白樺(しらかば)飲料や各種パイ作りなどにくふうが凝らされ、呪的(じゅてき)な意味からも酒造りは女性の仕事とされてきた。住居は聖なる場所を求めて伝統的な丸木小屋に執着し、さらに彼らの間の交易的な略奪婚は、一方でロシア正教徒の儀礼を取り入れながらも100年前ごろまでは続けられてきたといわれている。若いほど花嫁の値段が高いのは、その労働力が期待されたからだという。ウドムルト語による民族詩人の作品は、すでに20世紀の初めには出版されていて、近年、ほかのウラル系フィン・ウゴール(フィンランド、エストニア、ハンガリーなど)の人々との交流も活発になり、首都のイジェフスクの各学問分野の研究所では研究成果の公刊が盛んである。

[菊川 丞]


ウドムルト(ロシアの地名)
うどむると
Удмурт/Udmurt

ロシア連邦西部にあるウドムルチア共和国のソ連時代の名称。また、同共和国の住民、ウドムルト人を意味する言葉でもある。

[編集部]

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百科事典マイペディア 「ウドムルト」の意味・わかりやすい解説

ウドムルト

ロシア連邦の一共和国で,ボルガ川東支流域にあり,面積4万2100km2。主都イジェフスク。人口152万6300人(2010)中,ウドムルト人31%,ロシア人59%だが,前者は近隣のバシコルトスタンタタールスタンなどにも約25万人住む。16世紀半ばにロシアに併合,石油・鉱物資源に富むためソ連時代に重工業地帯に発展し,環境破壊も顕著。ウドムルト自治共和国(1934年成立)が1992年共和国を宣言,環境保護や民族文化復興運動が活発化している。
→関連項目ウドムルト語

ウドムルト[人]【ウドムルト】

旧称ボチャークVotyak。ロシアのウドムルト共和国人口の3分の1を占める民族。カマ川およびビヤトカ川の下流域に住み,主として農業を営む。13世紀モンゴルに服属。かつてはこの地域の主要民族だったが,16世紀からモスクワの統治を受けロシア化の方向をたどっている。→ウドムルト語
→関連項目ウドムルト

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