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エッセネ派 エッセネはEssenes

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

エッセネ派
エッセネは
Essenes

前2世紀~1世紀末,イエスとほぼ同時代のユダヤ教三大教派の一つで,パリサイ派サドカイ派と並ぶ。パレスチナに初めて現れたのは,前2世紀のハスモン家 (ユダヤ人祭司) の反乱の終り頃といわれるが,前1世紀末までには,その中心集団が死海の北西沿岸に共同生活を形成していた。派としての規模は小さく,会員はおもに農耕を中心として,厳格,敬虔な宗教生活を営んでいた。当時には珍しく,奴隷制を否定し,みずからの労働によって生活の糧を得,それを共有するという共産社会を形成していた。その禁欲的な宗教生活は,修道院と同様である。宗教観はサドカイ派よりもパリサイ派に近いが,独自の信念と戒律をもっていた。生活の中心は詳細なトーラー研究に費やされ,会員は全生涯をそのために捧げた。日常生活のけがれを純化することを目指し,集団受洗といった儀式的純化が強調された。エッセネとは,「敬虔なもの」,あるいは「静かなるもの」といった意味と考えられるが,語源に関しては諸説がある。 1947年に死海の北西のクムランの洞穴で発見された「死海文書」 Dead Sea Scrollsは,この派のものとされる。

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デジタル大辞泉の解説

エッセネ‐は【エッセネ派】

Essenesパリサイ・サドカイ両派とともに、イエス時代のユダヤ教三大宗派の一。儀式的、律法的な清潔を重んじ、独身を守り、農業を中心とする修道院的共同生活を営んだ。

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世界大百科事典 第2版の解説

エッセネは【エッセネ派 Essenes】

イエス時代のユダヤ教の一分派で,その名称は〈敬虔な者たち〉の意とされる。フィロンヨセフス大プリニウスの報告によると修道院に似た共同生活を行い,加入希望者は3年間の試験期間の後,厳粛な誓約により初めて加入を許され,共同体のあらゆる規律の遵守を義務づけられた。結婚と財産私有に関し,これを厳格に禁止する祭司的共同体と,一部分これを認容する,より緩やかな共同体の別があったといわれる。固有な年間暦をもち,日々の生活は祈禱,律法研究,農工作業,祭儀的な沐浴と共同の食事などからなる日課に従って整然と営まれた。

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大辞林 第三版の解説

エッセネは【エッセネ派】

紀元前二世紀頃おこったユダヤ教の一派。財産の共有、独身主義が特色。死海周辺で農業を中心に質素な共同生活を営んだ。死海文書を残したクムラン教団はその一部といわれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

エッセネ派
えっせねは
Essenes

ユダヤ王国のハスモン王朝期(紀元前142~前63)に成立したとみられるユダヤ教の一派。この時代のユダヤ教は王権と祭司権をめぐる抗争と呼応して、パリサイ、サドカイ両派に代表される宗派を生むが、エッセネ派は俗をいとい穢(けがれ)を断って、厳格な規律のもとにひたすら禁欲的な宗教生活に生きる宗派であった。その名称は「敬虔(けいけん)な人」「聖なる者」を意味し、その存在はイエス・キリストと同時代のユダヤ人思想家フィロンや歴史家ヨフスらによって知られていたが、実態は不明であった。ところが1945年、死海近傍のクムラン洞穴中の文書発見に始まる死海写本の発掘調査によって、エッセネ派の共同生活址(し)が出土し、クムラン文書そのものが同派の日常生活での聖書研究と写本作成努力の結果であることがわかった。出土品の「宗規要覧」「会衆規定」などは、厳格な階級制、禁欲主義、財産の共有など同派の規律、日常生活や信仰の実態を明らかにし、『旧約聖書』と『新約聖書』をつなぐ、驚くべき宗団の存在を示している。[秋輝雄]

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世界大百科事典内のエッセネ派の言及

【クムラン】より

…この共同体は修道院的性格をもった祭司集団で,前130年ころ〈義の教師〉なる人物によってエルサレムの神殿祭儀に反対して創設された。一般にヨセフスその他の古代文献に見えるパリサイ,サドカイと並ぶ第3のユダヤ教団エッセネ派と同一視されている。彼らは独自の律法解釈にもとづく厳格な規律に従って禁欲的共有財産制の共同生活を営んだ。…

【死海写本】より

…以上は死海写本によって初めて世に知られた文書であるが,安息日戒律を説き〈義の教師〉に言及する《ダマスコ文書》(CD,4QD)は20世紀初頭すでにカイロで発見されている。
[意義]
 〈クムラン文書〉を蔵していた共同体がユダヤ教エッセネ派に属するという,発見当時の仮説は,その後の証拠により着々と裏付けられ,この世を光(真実の霊)と闇(虚偽の霊)との戦いの場とし,終末における光の勝利を確信し,厳格な戒めを守りつつメシアの到来を待ち望むという彼らの生活態度は,洗礼・聖餐という典礼とともに原始キリスト教会に引き継がれたと想定することもできる。一方,死海写本は旧約聖書本文の歴史や当時のヘブライ語・アラム語の解明のため,新しい光を投じたものであることは言うまでもない。…

※「エッセネ派」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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