エニセイ川(読み)エニセイガワ(その他表記)Енисей/Enisey

デジタル大辞泉 「エニセイ川」の意味・読み・例文・類語

エニセイ‐がわ〔‐がは〕【エニセイ川】

YeniseyЕнисейロシア連邦サヤン山脈に源を発してシベリア中部を流れ、北極海エニセイ湾に注ぐ川。長さ4090キロ。木材などの輸送路、水力発電に利用。冬季結氷

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精選版 日本国語大辞典 「エニセイ川」の意味・読み・例文・類語

エニセイ‐がわ‥がは【エニセイ川】

  1. ( エニセイはJenisjej ) ロシア連邦、シベリア中部を流れる世界有数の大河。モンゴルに近いサヤン山脈に発し、北極海のエニセイ湾に注ぐ。木材輸送、水力発電に利用。イェニセイ川

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エニセイ川」の意味・わかりやすい解説

エニセイ川
えにせいがわ
Енисей/Enisey

ロシア連邦、シベリア中央部を北流し、カラ海のエニセイ湾に注ぐ大河。東サヤン山脈から流下する大エニセイと、モンゴル国のダルハト盆地に発する小エニセイとがキジルで合流してエニセイ川本流となる。全長4092キロメートル(大エニセイから)、流域面積259万平方キロメートル。合流点からミヌシンスク盆地までは西サヤン山脈を横断し、ボリショイ・ポローグ(大急流の意)とよばれる急流や滝が続く深い渓谷であったが、ここにサヤノ・シューシェンスコエ・ダムが建設された。また東サヤン山脈の低所を横切る所にあるジブノゴルスクに1971年クラスノヤルスク・ダムが建設され、その逆流が360キロメートル上流のミヌシンスク付近に達している。クラスノヤルスク付近からは、早瀬を所々に伴いながら、エニセイ台地の東縁に沿って西シベリア低地を北流する。アンガラ川、ポドカメンナヤ・ツングースカ川、ニジニャヤ(下)・ツングースカ川の三大支流をいずれも右岸からあわせ、氾濫原(はんらんげん)の幅20~40キロメートル、年平均流量は毎秒約2万立方メートルに達する大河となる。

 ウスチポルトより下流河口部で、巨大なデルタ(三角州)をつくって分流し、エニセイ湾に注ぐ。河口における年平均流量は毎秒1万9800立方メートルである。全川にわたり雪解けの4月下旬から6月にかけて高水期となり、ついで7月から9月にかけて流量が安定し、11月に低水期がある。上流山地部で11月末から4月末まで、中流ではクラスノヤルスクで11月中旬から5月上旬まで、下流では10月下旬から7月初めまでの間結氷する。春の雪解けは大量の流水を伴い、年間流量623立方キロメートルがカラ海に注ぎ、約1000万トンの懸濁物質が運搬される。

 エニセイ川は本流のほぼ全域約3000キロメートルが航行可能で、中央シベリア地方のもっとも重要な交通路となっている。ことに下流地方では航空路以外のほとんど唯一の交通路で、主要な貨物輸送がクラスノヤルスクから河口に近いドゥジンカの間で行われている。沿岸では木材、石炭、石墨、鉄、非鉄金属、金などを産し、それらの輸送に河水が利用されるほか、シベリア開発の資材輸送も増加している。とりわけ木材の流送が全輸送量の半分以上を占めている。主要港は上流からアバカン、クラスノヤルスク、ストレルカ、マクラコボ、エニセイスク、トルハンスク、イガルカ、ドゥジンカなどである。漁獲はサケ、ニシン、マス、チョウザメの類がある。

[津沢正晴]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エニセイ川」の意味・わかりやすい解説

エニセイ川
エニセイがわ
reka Enisei

ロシア中部,シベリアを北流し,北極海に注ぐ大河。流域の大半はクラスノヤルスク地方に属する。東サヤン山脈南西斜面から西流する大エニセイ川と,モンゴル北部に発し西流する小エニセイ川がトゥーバ盆地のクイズイル付近で合流してエニセイ川となり,盆地を西流したのち北へ流れを変え,西サヤン山脈,次いでミヌシンスク盆地,東サヤン山脈西端部を横切り,右岸にアンガラ川を合せたあたりで西シベリア低地に出る。同低地で谷幅は 10~20kmに広がり,融雪時には谷幅いっぱいに川が流れる。中流部より下流は左岸の西シベリア低地,右岸の中央シベリア台地という対照的な地形の境をなしながら北流し,最下流部では右岸も低地 (北シベリア低地) となる。下流部では川幅2~5km,深さ 14~23mとなり,最下流部の 300kmほどは一部分流し,河口に三角州をつくりながらカラ海のエニセイ湾に注ぐ。長さは源流の大エニセイ川水源から 4092km,大エニセイ川と小エニセイ川の合流点からは 3487km,さらにモンゴルから北流してバイカル湖に注ぎアンガラ川に続くセレンガ川を源流とみなすと,その水源から 5550kmとなる。流域面積 270万 km2。下流部では 10月下旬~6月上旬,上流部では 11月下旬~4月下旬は結氷。夏には河口から上流のオズナチェンノエまで (3013km) 定期航路があり,イガルカまで (673km) は外洋船が航行可能。おもな支流はカン,アンガラ,ポドカメンナヤトゥングスカ,ニジニャヤトゥングスカ,クレイカなどでいずれも右岸に注ぐ。下流部では漁業が盛ん。中流部は未開発であるが,シベリア鉄道と交差するクラスノヤルスクを中心に,上流のミヌシンスク盆地までは中央シベリアで経済活動が最も活発な地域で,この川を利用して石炭,鉱石,木材,工業製品の輸送が盛ん。クラスノヤルスク付近とアバカン上流に水力発電所とダムが建設されている。沿岸主要都市は上流からミヌシンスク,アバカン,クラスノヤルスク,エニセイスク,トゥルハンスク,イガルカ,ドゥジンカ,ウスチポルト。

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改訂新版 世界大百科事典 「エニセイ川」の意味・わかりやすい解説

エニセイ[川]
Enisei

ロシア連邦,シベリア中西部の大河。名称はエベンキ語でヨアネシ(〈大きな川〉の意)に由来する。最上流部は東サヤン山脈に源をもつ大エニセイ,モンゴル西部の山地に発する小エニセイからなり,両川はトゥーバ盆地キジル市で合流,これより下流をエニセイ川と称する。小エニセイを含めた全長4102km,本流は3487km,総流域面積約258万km2。セレンガ川源流までを含めると全長約5075kmとなる。本流は上流部で西サヤン山脈を横断して270kmもの峡谷と連続した早瀬をつくる。シベリア鉄道との交点クラスノヤルスクからは西シベリア低地と中央シベリア高地の境界をつくりながら北に流れ,アンガラ川を右岸に合わせてからは川幅2km,深さ10~17mの大河となる。最下流部ではウスチ・ポルトを過ぎると四つの主要流路に分かれて流れる。年間流量は約624km3に達し,ロシアの河川中第1位。上流部ではサヤン,クラスノヤルスクなどの巨大な水力発電所も建設されている。交通路としての役割も大きく,右岸の支流ニジニャヤ・ツングースカ,ポドカメンナヤ・ツングースカ,ベルフニャヤ・ツングースカは,17世紀以来,ロシア人の東方進出の主要ルートとして利用されたことで知られる。現在もミヌシンスク上流のオズナチョンヌイ以下の本流全域が可航で,海航船はエニセイの入江から440km上流のイガルカまで遡航する。最も密な航路をもつのは中流のクラスノヤルスク周辺であるが,12月中旬~5月上旬は結氷し航行に支障を来す。
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