オグバーン(読み)おぐばーん(その他表記)William Fielding Ogburn

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オグバーン」の意味・わかりやすい解説

オグバーン
おぐばーん
William Fielding Ogburn
(1886―1959)

アメリカの社会学者。マーサー大学を卒業し、コロンビア大学ギディングスに就いて学ぶ。1919年にコロンビア大学教授、のち1927年シカゴ大学教授に招かれ、1929年アメリカ社会学会会長に選ばれた。第一次世界大戦中は連邦政府機関に関係し、社会統計調査を実施した。女性解放にも関心をもった。社会学のみならず、経済学、政治学統計学をも講じ、研究は社会変動、技術、家族問題、都市、選挙、人口問題など多方面にわたっている。『社会変動論』(1922)で提唱した文化遅滞(カルチュラル・ラッグ)理論は有名である。それによると、文化には物質的文化と適応的文化とが区別される。物質的文化は技術や施設や機械などを含んでおり、累積的に進歩する。これに対し非物質的な適応的文化は社会諸制度や価値体系を含んでおり、累積的には進歩しない。発明という技術進歩によって物質的文化は大きな変化率で変わるのに対し、制度や価値体系といった適応的文化は小さな変化率で反応するので、二つの文化の間に変動テンポのずれが生ずる。これが文化遅滞であって、社会変動の急速な社会では重大な不調節を結果する、と彼は強調した。しかし、文化を二つに区分して、その間のずれを指摘する考え方は単純にすぎるし、また適応的文化が逆に物質的文化の変化の速度を抑止するような反面があることを見落としている、といった批判などがある。

[塩原 勉]

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改訂新版 世界大百科事典 「オグバーン」の意味・わかりやすい解説

オグバーン
William Fielding Ogburn
生没年:1886-1959

アメリカの社会学者。マーサー大学を卒業後,コロンビア大学大学院でギディングズF.H.Giddings(1855-1931)に社会学を学ぶ。リードカレッジワシントン大学,コロンビア大学の社会学教授を歴任(1912-26)。1927年シカゴ大学教授となる。29年第19代アメリカ社会学会会長。社会変動の観測と政策的介入の領域で業績をあげており,理論没頭型社会学とも批判専念型社会学とも異なる社会学を普及させた。理論的業績に乏しいため日本では軽視されてきたが,再評価さるべき人物である。第1次大戦中に生計費調査を手がけてのち,アメリカの行政機関の政策要求にかかわる理論および調査の枠組み開発に貢献し,学問領域を超えて社会変動の測定,技術革新の受容,物質文化の進歩に対する非物質文化の遅滞(cultural lag),家族の機能,人口移動,都市形成,政治の社会学などの問題に,問題発見-解決型のアプローチを試みた。主著《社会変動論Social Change:with Respect to Culture and Original Nature》(1922,新版1950)では,現代社会の文化変動の激しさの中で適応文化adaptivecultureの成熟が遅れ,社会問題を多発させているとしている。技術革新のスピードの制御とそれへの人間社会の適応を考えるためにも適切な文献といえよう。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オグバーン」の意味・わかりやすい解説

オグバーン
Ogburn, William Fielding

[生]1886.6.29. ジョージア,バトラー
[没]1959.4.27. フロリダ,タラハッシー
アメリカの社会学者。マーサー大学卒業後,コロンビア大学大学院で F.H.ギディングズに師事。 1911年プリンストン大学講師となり,のちリード・カレッジ (1912~17) ,ワシントン大学 (17~18) ,コロンビア大学 (19~27) ,シカゴ大学 (27~51) の各教授をつとめ,社会学を講じた。 29年には第 19代アメリカ社会学会会長に就任。彼の理論の特徴は,社会と文化の関係から社会変動をとらえ,特に物質文化と非物質文化との変化の速度のずれを文化的遅滞の概念として明らかにし,従来は社会変動解明のために用いられていた心理学的方法を退けたことにある。彼の研究方法では統計的調査が主要な位置を占め,師ギディングズの影響が強くうかがわれる。主著『社会変動』 Social Change (22,new ed.50) 。

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367日誕生日大事典 「オグバーン」の解説

オグバーン

生年月日:1886年6月29日
アメリカの文化社会学者
1959年没

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