オスティナート
一定の音型を持続的に反復する作曲技法またはその音型。厳密には,同一声部で同一音高の音型が反復されるものをいう。ヨーロッパでは15世紀後半の音楽作品にその用例が目立ち始め,17世紀にパッサカリアやシャコンヌなどのオスティナート形式が愛用されるようになって,バロック音楽の重要な一要素となった。古典派・ロマン派時代にはやや下火になるが,20世紀に入ると,民族的語法や非西洋圏の伝統音楽のリズム構造への関心の高まりから,さまざまな形で盛んに用いられるようになった。ミニマル・ミュージックはその典型例。日本でも伊福部昭や松村禎三などが,この技法を土台にすぐれた作品を残している。→バッソ・オスティナート
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オスティナート
ostinato
音楽用語。ある一定の音型が,楽曲あるいは楽節全体を通じて,同じ声部において通常同じ音高で絶えず繰返されることをいう。この手法の最初の使用は,13世紀のモテトのなかにみられる。また同時代の『夏のカノン』の2声のバスにおけるオスティナートは有名。ルネサンス,バロックの舞曲にはしばしばオスティナートの手法がみられ,シャコンヌやパッサカリアの形式を生んだ。ロマン派ではあまりこの技法は用いられなかったが,20世紀には再び復活し,ヒンデミット,バルトーク,メシアンらに好まれた。ジャズ音楽においても,リフの名のもとにこの技法が用いられている。
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オスティナート
おすてぃなーと
ostinato イタリア語
音楽用語。ある一定の音型を同一声部で何度も繰り返す手法。低声部に置かれたものをとくにバッソ・オスティナート(固執低音)とよぶ。13世紀中ごろに現れたが、とりわけ16世紀中ごろから18世紀にかけて好まれた(グラウンド、シャコンヌ、パッサカリア、フォリアなど)。また、変奏曲形式と結び付いたり、ラベルの『ボレロ』のように、リズム面に応用されたりするものもある。
[関根敏子]
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オスティナート(〈イタリア〉ostinato)
音楽で、一定の音型を何度も反復する技法。低声部でこれを行うバッソ‐オスティナートは、この技法の代表的なもので、「固執低音」「執拗低音」などとも訳される。
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