翻訳|Orange
フランス南東部,ボークリューズ県の古都。人口1万9847(1975)。ローヌ川左岸平野にあり,県都アビニョンの北方約20km,果樹栽培と果実加工業で知られる。現市名は古名アラウシオArausioに由来するが,これは先住民ガリア人の神名にもとづく。カエサルのガリア遠征によって,ローマ人の支配下に移った。ローマ帝国のガリア支配の主要拠点のひとつとなり,盛時には現在の人口の4倍をうわまわるほどの繁栄をみた。ローマ人の建設した公共建造物としては,神殿,体育場もあるが,とりわけ野外劇場と凱旋門が名高い。劇場はおそらく紀元直前アウグストゥス時代に建設されたが,直径約100mの半円形をなしている。客席部分は斜面にそって1000人以上を収容する。舞台正面の背後の壁は,幅103m,高さ38mにおよび,中央にアウグストゥスの彫像を置く。古代ローマ世界でも,もっともすぐれた劇場のひとつであり,保存も良好である。凱旋門もアウグストゥス時代のもので,これまた古代世界で最大のもののひとつである。オランジュは,古代末期にゴート人によって占領された。11世紀にはオランジュ公領が創設され,公家は16世紀にドイツのナッサウ家と統合して,オラニエ=ナッサウ家となり,独立後のオランダ共和国の主権保護者となった。同家のオランジュ(オラニエ)公ウィレム3世は1688年の名誉革命の結果,イギリス王位にもついた(ウィリアム3世)。この間,オランジュ伯領は独立を保ってきたが,ルイ14世の攻撃によって市壁は破壊され,1713年ユトレヒト和約ののちフランス領に併合された。
執筆者:樺山 紘一
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フランス南東部、ボークリューズ県の都市。アビニョンの北25キロメートルにある。人口2万7989(1999)。野菜、果実などの農産物市場をはじめとして商業が発達する一方、精糖、食料品加工、羊毛製糸、靴製造などの工業も行われる。また、この町はローマ時代の遺跡が残っていることで有名で、観光の中心でもある。120年ごろつくられた古代劇場、1世紀につくられた凱旋門(がいせんもん)などはとくに有名である。
[青木伸好]
ローマ劇場と周辺の劇場地区、凱旋門が1981年、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「オランジュのローマ劇場とその周辺および“凱旋門”」として世界遺産の文化遺産に登録された(世界文化遺産)。
[編集部]
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…14~15世紀,つぎつぎにネーデルラント地方の領土を得,ブレダに居城を構え,ブルゴーニュ侯に仕えてこの地方随一の名門貴族となった。16世紀前半,ナッサウ家の長男ヘンドリック(ハインリヒ)3世はネーデルラントを含むライン左岸の領地を相続し,ハプスブルク家に仕え,結婚により南仏オランジュOrange(オラニエ)公領を手に入れた。次男のウィレム(ウィルヘルム)はライン右岸領すなわちナッサウ家伝来の領土を得た。…
※「オランジュ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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