オリジナル楽器(読み)オリジナルがっき

百科事典マイペディアの解説

オリジナル楽器【オリジナルがっき】

古楽のジャンルで1960年代に用いられ始めた音楽用語。作曲家が表現媒体として想定し,作曲当時の演奏に用いられた楽器(ないし復元楽器)をさす。original instrumentといい,真正楽器authentic instrumentなどの呼称もある。第2次大戦後のヨーロッパでは,バロック以前の音楽の研究と再評価が急速に進んだ。その中で,それらの音楽が楽器としての性格も奏法も異質なモダン楽器(現在,広く一般に使用されている楽器)によって,さらにはロマン派(ロマン主義)経由の解釈・演奏様式によって再現されてきた19世紀中葉以降のあり方に疑問が深まり,オリジナル楽器での演奏が提唱される。この動向はやがて〈オリジナル楽器運動〉と呼ばれる大きな潮流を形成し,多くの研究者・演奏家が輩出した。当初は少数派にすぎなかったこの潮流も1970年代には広く認知されるに至り,1980年代からは古典派音楽以降の演奏についても見直しが進んでいる。こうした気運はモダン楽器の演奏家にも影響を与え,たとえばJ.S.バッハの作品を現代のバイオリンチェロで弾く際のボーイング(運弓法)にも,近年大きな変化がみられる。またスチール弦の使用が主流となった今日のバイオリン属についても,ガット(羊腸)の豊かな表現力が改めて見直されるようにもなった。なお,同義に用いられることも多い〈古楽器〉は日本特有の呼称で,オリジナル楽器は時代を問わず,作曲者が意図した楽器をさす。→バイオリンピアノ
→関連項目アルノンクール管弦楽チェロビオラ・ダ・ガンバビオルブリュッヘンフルート

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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