カラホージョ(読み)からほーじょ(英語表記)Karakhōjo

精選版 日本国語大辞典 「カラホージョ」の意味・読み・例文・類語

カラホージョ

  1. ( Kara-Khodjo ) 中国、新疆ウイグル自治区吐魯番の東南方にある遺跡。五~七世紀に高昌国都城として繁栄。九世紀以降はウイグル族根拠地となった。カラコージョ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カラホージョ」の意味・わかりやすい解説

カラ・ホージョ
からほーじょ / 哈剌和卓
Karakhōjo

中国、新疆(しんきょう)ウイグル自治区トゥルファン盆地に残る都城址(とじょうし)。「荒廃した高昌(こうしょう)」の意。イディクト・シャリIdikut Shariの呼称もある。現在、高昌故城として全国重要文物保護単位に指定されている。この都城の沿革は紀元前1世紀の高昌壁(へき)にさかのぼるが、現存する遺構は、トゥルファン盆地の歴史でいう高昌国、唐の西州、西ウイグル国、モンゴル帝国時代に、その首都および主要都城となっていたころのものと推定される。都城は一辺1500~1600メートルの方形で、城壁をもち、外城、内城、宮殿址からなり、高昌国時代は条坊制も施行されていて、中国の都城プランの直接的影響が認められる。しかし遺構の大半を占める寺院址はペルシア風で日干しれんが造りである。20世紀初頭のルコックらの調査によって、仏教のほかマニ教景教(ネストリウス派キリスト教)の寺院址も確認され、壁画などの多様な遺物によって、東西交易路の要衝を占めたオアシス都市の繁栄のさまと高度な文化の一端が明らかとなった。

[白須浄眞]


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改訂新版 世界大百科事典 「カラホージョ」の意味・わかりやすい解説

カラホージョ (哈拉和卓
)
Karakhojo

中国,新疆ウイグル自治区トゥルファン盆地内にある古城跡高昌国の都城であったが,のち〈高昌〉の音が訛って元代以後に火州と呼ばれ,イラン史家にはカラホージョ(〈黒い高昌〉の意)として知られるようになり,中国史家はこれを哈喇火者(和卓)などと写した。西ウイグル王国の宮廷にちなんでイディクート・シャフリIdiqutshahriとも呼ばれ,繁栄を続けたが,14世紀以降政治・経済の中心がしだいに北西約30kmのトゥルファンに移り,永く機能したこの軍事要塞城市も,18世紀末にはすでに廃城となっていた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カラホージョ」の意味・わかりやすい解説

カラ・ホージョ(哈拉和卓)
カラ・ホージョ
Qara Khōjo

中国,シンチヤン (新疆) ウイグル (維吾爾) 自治区にある古代都市の廃虚。「カラ」はウイグル語で「黒」,死せる都であることを示す。「ホージョ」は「コチョ」 Qochoとも写され,「高昌」 Kao-ch`angの転訛である。トゥルファン (吐魯番) の東方にあり,漢代以来ここに漢人が入植し,450年この地の車師国を倒して高昌国を建てた。 640年唐に併合され,790年吐蕃の勢力下に入り,940年のウイグル帝国の崩壊後,ウイグル人が移住して高昌ウイグル王国を建て,982年宋の王延徳の一行がここを訪問した。元代以後廃虚となったが,1904年ル・コックがカラ・ホージョの遺跡を発掘し,マニ教,仏教などの寺院や多量の文書,壁画を発見した。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「カラホージョ」の解説

カラホージョ

高昌国(こうしょうこく)

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世界大百科事典(旧版)内のカラホージョの言及

【高昌】より

…15世紀には東進したチャガタイ系モグーリスターン・ハーン国の根拠地となり,その支配下でしだいにイスラム化するとともに,高昌城も1520年ごろを境に文献から姿を隠し,やや西方のトゥルファン(吐魯番)に中心が移り,現在に及ぶ。 車師前国は交河城に都したが(交河古城址),前涼以後の治所は,今日カラホージョとよばれる吐魯番県東方約50kmの都城址にあてられている(高昌古城址)。都城址は東西・南北とも1.5kmほどの規模をもち,内城,外城,その他に城壁で区分されている。…

【トゥルファン】より

… トゥルファンの周辺には,歴史的な各時代の都城址や,古墓群が散在し,この地がシルクロード上の要地であったことから,東洋史研究の一宝庫と目されている。都城址としては,トゥルファン県の西およそ10kmの地にある交河古城址と,南東およそ45kmの火焰山の南麓にある高昌古城が双璧であり,石窟としては県城の北東45kmの火焰山北麓に沿ったムルトゥク峡谷にあるベゼクリク石窟と,東40kmの地にあるセンギム・アギヌ石窟など,古墓群としては高昌古城の北1kmの地にあるアスターナとカラホージョ,それに交河古城周辺の古墓群がある。これらのうち,ヤルホトとも呼ばれる交河古城は,その名のごとく,城の東西を二つの河川によって取り巻くように挟まれた台地の上にある山城で,天然の要塞になっているために城壁のないのが珍しい。…

【西ウイグル王国】より

…その領域は最大時には西部天山山脈一帯にまで及び,天山ウイグル王国とも呼ばれる。9~11世紀のころにはビシュバリクも重要な都市であったが,その後はカラホージョが王城として機能した。中国側にはオアシス都市ごとに,都市名を冠して西州(高昌)回鶻,亀茲回鶻などとして,また前者は王名をとって阿薩蘭(アルスラン=獅子)回鶻としても知られた。…

※「カラホージョ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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