カリブ海(読み)カリブかい(英語表記)Caribbean Sea

翻訳|Caribbean Sea

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

カリブ海
カリブかい
Caribbean Sea

大西洋の縁海の一つ。南アメリカ大陸の北岸中央アメリカの東岸および西インド諸島に囲まれる。北緯9°から 22°までの貿易風帯に位置し,メキシコ湾流の一部はここに端を発する。海嶺海膨によって楕円形に似た5つの海盆に分けられる。面積は 275万3000km2。最深部は 7686m。平均深度約 2500m。この海域には岩礁や濃霧が少いうえにパナマ運河によって太平洋へも通じるので船舶の往来が多い。沿岸諸地域は一般に山がちであるが港湾は少くない。コロンブスの渡航以来,ヨーロッパ諸国の植民地獲得の拠点となった地域が沿岸に多く,各国の勢力圏は錯綜していた。現在も沿岸には十数ヵ国が相接している。この地域のおもな産物は,従来,砂糖,コーヒー,バナナ,カカオなどの農産物であったが,最近は石油,鉄鉱石ボーキサイトなどの鉱産物が注目されてきた。

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百科事典マイペディアの解説

カリブ海【カリブかい】

南米大陸北岸,西インド諸島,中央アメリカに囲まれ,大西洋の一部をなす海域。英語でCaribbean Sea。ユカタン海峡メキシコ湾に,パナマ運河で太平洋に通ずる。約278万km2。最大水深8605m。名はカリブ族にちなむ。この地域にはカリブ,アラワク,シボネイなどの先住民がいたが,1492年のコロンブス来航以後スペイン人による苛酷な使役のため,1世紀後には少数のカリブ以外はほぼ絶滅した。17世紀にはオランダ,フランス,英国などがスペイン支配に挑んで小アンティル諸島を奪い,ジャマイカは英国に,イスパニオラ島(現ハイチ,ドミニカ)はフランスに帰属した。17世紀半ば以降,大西洋奴隷貿易によるアフリカ黒人奴隷(19世紀までに約400万人)に依存した砂糖プランテーションが各地に拡大。一方,1804年にはトゥサン・ルベルチュールらのハイチ革命で黒人共和国が独立した。19世紀に入って英領をはじめとして奴隷解放が進むと,代わりにインド人が導入された。また米国は1898年の米西戦争に勝ってキューバ,プエルト・リコを支配下に収めて以後,1914年にはパナマ運河を開くなど,カリブ海政策を展開しはじめる。1959年のキューバ革命はこのような植民地支配を制止する契機となり,その前後からカリブ諸国の独立が続いた。これら諸国といくつかの自治領は1973年カリブ共同体を発足させ,カリブ共同市場(CARICOM)の形成をめざしている。20世紀に入って,ジャマイカ出身のM.ガービーが,米国の黒人とともにアフリカ帰還運動を組織し,マルティニク出身のセゼールが〈ネグリチュード〉を提唱するなど,父祖の地アフリカへの回帰をめざす活動が盛んになった。また現代では,多民族混交文化のアイデンティティを〈クレオール〉性として主張する運動もフランス語圏を中心に盛んになっている。→ラスタファリ運動
→関連項目カルタヘナ(コロンビア)大西洋

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世界大百科事典 第2版の解説

カリブかい【カリブ海 Caribbean Sea】

東はトリニダード,トバゴ,バルバドス等の小アンティル諸島で大西洋と境され,北はキューバ,プエルト・リコ等の大アンティル諸島およびユカタン半島でメキシコ湾とへだてられる縁海。カリブ海とメキシコ湾を含めアメリカ地中海ともいう。面積はほぼ264万km2で日本海とオホーツク海を加えた面積とほぼ同じである。内部には東からベネズエラ海盆コロンビア海盆,ケイマン海溝,ユカタン海盆と並び,深さはほぼ3000~6000m,最深部はケイマン海溝で約7100mを示す。

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大辞林 第三版の解説

カリブかい【カリブ海】

〔Carib〕 中央アメリカ・南アメリカと西インド諸島に囲まれた大西洋の付属海。パナマ運河により太平洋に通じ、北西部はメキシコ湾に連なる。国際的保養・観光地が多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

カリブ海
かりぶかい
Caribbean Sea

北と東を西インド諸島、南を南アメリカ大陸北岸、西を中央アメリカに囲まれる大西洋の付属海。キューバとメキシコの間にあるユカタン海峡によってメキシコ湾に通じ、小アンティル諸島の間の海峡によって大西洋と結ばれ、パナマ運河によって太平洋ともつながる。面積約250万平方キロメートル。コロンビアのマグダレナ川がカリブ海に注ぐ最大の川で、ベネズエラのマラカイボ湖が最大の湾である。
 地質学的には、ホンジュラス東端とジャマイカ、ハイチを結ぶ線を境にして、南北二つの海盆から形成されている。北部の海盆は、さらに中央を横断するケイマン海膨により北側のユカタン海盆と南側のケイマン海溝に分かれる。このケイマン海溝にカリブ海でいちばん深いバートレット海淵(かいえん)(水深6946メートル)がある。ジャマイカ以南の南部の海盆はコロンビア海盆、ベネズエラ海盆、グレナダ海盆から形成されている。カリブ海の海水は大西洋の海水よりも塩分が少なく、水温も平均24℃である。また、干満の差も30センチメートルで少ない。大西洋の赤道海流が小アンティル諸島の島々の間を通ってカリブ海に入り、北東貿易風によって西側へ流されながら暖められて、ユカタン海峡を通ってメキシコ湾に入り、メキシコ湾流となる。一方、中央アメリカ沿岸では夏になると反時計回りの反流もみられる。カリブ海沿岸と西インド諸島は、一年中北東貿易風の影響でしのぎやすいが、夏から秋にかけて大西洋あるいはカリブ海で発生するハリケーンによって多大の被害を受けることがある。
 カリブ海は1493年コロンブスによってヨーロッパに紹介された。その名称は先住民のカリブに由来する。スペインはこの地域の領有を主張し、1513年太平洋が発見されると、スペイン船隊の主要なルートとなった。スペインが大部分の地域を支配したにもかかわらず、イギリス、フランス、オランダ、デンマークも小アンティル諸島に植民地を建設した。1848年アメリカ西海岸のゴールド・ラッシュ以降、カリブ海を通ってカリフォルニアに移動する人々が増加し、また1914年のパナマ運河の開通によって、アメリカ合衆国は戦略的に重要なこの地域に強い関心を示すようになった。石油、鉄鉱石、ボーキサイト、砂糖、コーヒー、バナナ、ココアなどの産物が海上交通で輸出される。経済的にはアメリカに依存している地域が多い。冬季の保養地として、アメリカ、カナダからの観光客が増加し、国際的な観光地となっている。[菅野峰明]

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世界大百科事典内のカリブ海の言及

【大航海時代】より

…一方,イスパニオラやキューバでは金鉱が掘り尽くされ,17年からはプランテーション制によるサトウキビの生産が始まった。 カリブ海地域でのこうした植民地経営の発足と並行して,新大陸本土への進出も試みられた。その最大のものは18年に始まったエルナン・コルテスのメキシコ遠征である。…

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