カリブ海(読み)カリブかい(英語表記)Caribbean Sea

翻訳|Caribbean Sea

精選版 日本国語大辞典 「カリブ海」の意味・読み・例文・類語

カリブ‐かい【カリブ海】

(カリブはCarib) 南北両アメリカ大陸、西インド諸島に囲まれた大西洋の付属海。パナマ運河によって太平洋に通ずる。海域の島々は保養地として名高い。

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デジタル大辞泉 「カリブ海」の意味・読み・例文・類語

カリブ‐かい【カリブ海】

Caribbean Sea中央アメリカ南アメリカ大陸および西インド諸島に囲まれる大西洋の付属海。国際的な観光地・保養地が多い。

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改訂新版 世界大百科事典 「カリブ海」の意味・わかりやすい解説

カリブ海 (カリブかい)
Caribbean Sea

東はトリニダード,トバゴ,バルバドス等の小アンティル諸島で大西洋と境され,北はキューバ,プエルト・リコ等の大アンティル諸島およびユカタン半島メキシコ湾とへだてられる縁海。カリブ海とメキシコ湾を含めアメリカ地中海ともいう。面積はほぼ264万km2で日本海とオホーツク海を加えた面積とほぼ同じである。内部には東からベネズエラ海盆,コロンビア海盆,ケイマン海溝,ユカタン海盆と並び,深さはほぼ3000~6000m,最深部はケイマン海溝で約7100mを示す。ベネズエラのすぐ北にあるカリヤコ・トラフは水深が約1400mであるが,300mから下は無酸素層で名高い。カリブ海の周囲は活発な地震帯で,火山活動も盛んである。

 気候は熱帯気候で北東貿易風が卓越している。南米北岸での風向は年間90%以上が東寄りを示す。気候は乾季(一般に10月から3月)と雨季に分けられる。雨量はパナマの一部を除いては多くなく年間1000mm以下の所が多い。夏から秋のハリケーン以外は嵐は少ない。ハリケーンのカリブ海での発生は多くなく25年間で30個といわれている。特に北緯14°より南ではほとんど発生しない。ただハリケーンはメキシコ湾や他の大西洋域ではかなりみられるが,太平洋の台風よりも少ない。気温は年間を通じカリブ海の南では25~28℃,北では23~28℃くらいである。

 海流は北赤道海流あるいはガイアナ海流の一部が大西洋より入り込むものが代表的でカリブ海流ともいう。ほとんど南米大陸に平行にほぼ北緯13°付近を西に向かい,流速は表面で1ノット内外である。ただし時にはかなり速い値(2ノットくらい)を示すこともある。この流れはメキシコ湾に入りフロリダ海流につながる。

 水温の分布には一つの特徴がみとめられる。一般に表面水温は夏は27℃くらい,冬は約25℃である。ただし南米大陸寄りの水温は低い。ベネズエラの東の沿岸では冬は22℃,夏でも25℃である。北上すれば水温は上がり,中央部から北は夏では27℃となる。南米大陸沿いの低水温帯は東風による沿岸湧昇の影響で,これはハリケーンの発生を抑止するはたらきがある。海水の塩分は表面で36‰くらい,100m前後の深さで最も高く36.8‰,さらに深さを増せば値が低くなり,700mくらいで最少値34.7‰となる。この状態はカリブ海の南半分でみられ,亜南極中層水の影響をうけている。湧昇域では栄養塩類も多く,プランクトンが豊富で漁獲も多い。特にイワシ,エビをはじめ魚種も豊富である。マグロも一時カリブ海でかなりの漁をみたが現在はあまりとれない。エビも漁獲が落ちている。

 カリブ海周辺の鉱物資源として重要なのは石油である。トリニダード島からベネズエラにかけての石油の産出は有名で,最近は周辺のエクアドル,メキシコなどでも油田が開発されている。
執筆者:

一般にカリブ海地域と呼ぶ場合,それは西インド諸島もしくはアンティル諸島と総称される大小多数の島々とこの海域に面している中米や南米大陸の沿岸地域のことを指す。15世紀末以来この地域は,近世以降のヨーロッパの発展と重要なかかわり合いをもちつつ,独自な歴史世界を形成,発展させてきた。1492年,コロンブスらの一行が最初のヨーロッパ人としてこの地域に到来した頃,これらの島々にはアラワク(もしくはタイノ),シボネイ,カリブと呼ばれる三つの先住民部族がいた。しかし大陸のアステカやマヤ,インカに比べてはるかに低い発展段階にとどまっていた彼らは,スペイン人による征服,苛酷な労役,さらにヨーロッパからもたらされた疫病などにより,急速にその数を減らし,スペイン人到来からほぼ1世紀後には小アンティル諸島やベネズエラ沿岸に残った少数のカリブ族以外はほぼ絶滅してしまった。先住民人口の急速な減少,さらにこれらの島嶼での金の枯渇により早くも16世紀半ばにはこの地域はスペイン本国やスペイン人にとって経済的重要性を持たない二流の植民地へと転落した。ただし,この海域がスペイン本国とアメリカ大陸の植民地を結ぶ貿易・軍事上のルートに位置していたため,戦略上の重要性は維持し続けた。17世紀に入ると,オランダ,フランス,イギリスの北西ヨーロッパ諸国がスペインによるこの海域の独占的領有・支配に挑み始め,以後19世紀初めまでこの海域はヨーロッパ列強による植民地争奪の主要舞台となる。1620年代から30年代にかけて北西ヨーロッパ諸国が小アンティル諸島を占領し,50年代にはイギリスがジャマイカを占領,つづいてフランスがイスパニオラ島サン・ドマング植民地(のちのハイチ)を築いた。

1640年代にイギリス領バルバドスで始まった大規模な奴隷制砂糖プランテーションはこの海域の歴史にとって重大な転機となった。このバルバドスの〈砂糖革命〉はやがてリーワード諸島,ジャマイカへと波及し,18世紀後半にはサン・ドマングで,さらに19世紀にはキューバで著しい発展をみた。このように最盛期に時期の差があったものの,奴隷制砂糖プランテーションはこの地域のほとんどすべてをなめつくすように広まったのである。奴隷貿易と砂糖生産は巨大な富を生み出し,かつての辺境の島々は〈カリブ海の宝石〉に生まれ変わった。その富を生み出した奴隷だが,P.カーティンの推計によると17世紀から19世紀のほぼ3世紀の間に主として西アフリカからカリブ海地域に送られた奴隷の数は約400万に達し,その数はアメリカ大陸の諸地域のなかで最も多いものであった。苛酷な労働や規制から逃れるため奴隷たちは各地で反乱や逃亡を企てた。奴隷の抵抗としては,1730年代にジャマイカで起こったマルーン戦争が有名だが,その規模が最も大きな反乱は,フランス革命の影響のもとで91年にサン・ドマングで起こった奴隷の大蜂起である。トゥサン・ルベルチュールの指導で進められたこの反乱は,やがて当時ヨーロッパで最強であったイギリス軍やナポレオンの軍隊を撃退して,1804年ついに世界で最初の黒人共和国ハイチとして独立した。世界史上空前の事件である。一方,イギリス領でも本国の人道主義者の活躍や経済上の理由,さらに植民地での反乱激化の動きを背景に,34年イギリス本国議会は植民地での奴隷解放を承認した。解放後,ジャマイカやバルバドスでは解放奴隷による小農民化が進み,一方,イギリス領ギアナトリニダード・トバゴでは奴隷に代わる労働力としてインド人を導入し砂糖生産が続けられた。長い間停滞していたスペイン領キューバでも,競争相手であったサン・ドマングでの砂糖産業の崩壊,大規模な奴隷輸入の開始,蒸気機関や鉄道など新技術の導入,イギリスから独立したアメリカ合衆国という市場の出現などという条件のもとで,18世紀末から奴隷制砂糖プランテーションが急速に発展し,1840年代以降には大々的な発展を遂げた。キューバでは68年に本国からの独立を目ざした〈10年戦争〉と呼ばれる戦争が始まった。奴隷も参加したこの戦争で結局独立は達成できなかったが,80年には奴隷解放がなされ,戦後のアメリカ資本の進出や,砂糖プランテーションの集中,巨大化などにより近代資本主義的な砂糖産業の発展が始まった。スペイン領のプエルト・リコでも1868年に独立を目ざした蜂起が起こり,73年には奴隷制が廃止された。1821年以来ハイチの支配下に置かれていたドミニカ共和国は44年に独立したが,その後政治の混乱や国家財政が悪化した状態が続いた。

19世紀末,アメリカ合衆国がこの地域に本格的な進出を開始することによって,この地域の歴史は新しい段階を迎える。1895年,キューバではホセ・マルティの指導のもとで再びスペインからの独立を目ざした闘いが始まるが,98年,合衆国がこの闘いに介入してスペインと戦争を起こし(〈米西戦争〉),それに勝利した合衆国は,プエルト・リコを領有し,スペインから独立したキューバを保護国とした。その後合衆国はキューバに対してたびたび軍事干渉を行うとともに,砂糖産業を中心に巨額の投資を行い,キューバを半植民地的な状況に置いた。世界強国を目ざした合衆国は,1903年にコロンビアから独立したパナマとの間に条約を結んでパナマ運河の建設に着手した(1914開通)。合衆国はカリブ海での利権の保護と防衛戦略上の必要から,カリブ海一帯でのヘゲモニーの確立を目ざし,第1次世界大戦が終わるまでに,ドミニカ共和国,ハイチをそれぞれ軍事占領,保護国という形で支配し,キューバやパナマの保護国化と相まってカリブ海におけるヘゲモニーを確立した。このような合衆国の覇権政策に対して,この地域諸国はハイチでのカコと呼ばれる武装農民の反乱(1918)や,ドミニカ共和国での軍事占領に対する抵抗,キューバでの33年の民族主義的な革命の勃発など,さまざまな抵抗を示したが,結局これらは封じ込められ,1930年代から50年代にかけて,キューバ,ハイチ,ドミニカ共和国などでは合衆国の権益を守護する独裁者たちが出現した。
カリブ海政策

このような合衆国によるヘゲモニーを打破する最初の動きとなったのが1959年のキューバ革命であり,それは独裁者の打倒,反米民族主義の闘い,社会主義革命という急進的な道を歩んで,カリブ海のみならずラテン・アメリカ現代史全般にとっての一大画期となった。一方,イギリス領植民地でも1930年代から労働運動の高揚や,政党の結成などを通じて自治を要求する動きが強まり,第2次世界大戦後には,西インド諸島連邦(1958-62)が解体して60年代以降独立国が続々と誕生した。社会主義国キューバでは,社会的,人種的平等化が進められ,大勢の黒人が社会のさまざまの分野に進出して活躍するようになった。同時に,キューバの歴史や,文化,宗教におけるアフリカ的要素の復権やカリブ海地域の奴隷制に関する研究が積極的になされて,キューバのアイデンティティとカリブ海地域のアイデンティティを一体化する努力が払われた。60年代から70年代にかけて,ガイアナ,トリニダード・トバゴ,ジャマイカの旧英領の国々で社会主義を志向する政治勢力が政権につき,60年代末にはジャマイカで始まったブラック・パワーの運動が,トリニダード・トバゴからグレナダへと波及して,その影響でグレナダでは79年に革命が起こって左翼政権が出現した。このようなカリブ海での黒人たちによる急進的な政治の動きの多くは,黒人の地位向上やアフリカ性の回復の主張を伴なっていた。50年代にジャマイカの首都キングストン西郊の下層黒人大衆のあいだで広がっていたアフリカへの回帰を説くラスタファリの信者たちの運動(〈レゲエ〉の項目参照)も60年代に反政府運動化した。しかしカリブ海地域でのこのような急進的な動きに危機感を抱いたアメリカ政府は,レーガン大統領のときにカリブ海援助構想を打ち出して(1982),カリブ海諸国の懐柔に努める一方で,83年には他のカリブ海諸国とともにグレナダに軍事侵攻を行って革命政権を打倒した。

 冷戦の終結とソ連社会主義の崩壊でキューバをはじめとするこの地域の社会主義勢力や進歩的勢力はその後ろ楯を失い,そのような状況のもとでこの地域でのアメリカ合衆国の影響力は急速に回復した。キューバに対する経済封鎖は強化され,ハイチでの軍事政権追放(1994)も米軍派遣というアメリカ主導によって解決がなされた。90年の選挙で,解放の神学者アリスティドを支持してこの国の近代化と民主化を求めて立ち上がったラバラス(奔流)と呼ばれる民衆運動の高揚も,94年の民主政治復活後には勢いを欠いてしまっている。カリブ海の多くの国は1980年代にこの地域を襲った経済不況から立ち直るのに懸命であって,いまやこの地域ではイデオロギーの季節は去り,経済の季節を迎えている。95年には,キューバも含めたカリブ海諸国が,経済の活性化と,域内協力による地域の自立化を目ざしてメキシコ,ベネズエラなどとカリブ海諸国連合Association of the Caribbean States(略称ACS)を結成した。

 しかし,この地域では,低開発や,モノカルチャー経済,政治的分断,人種差別,断片化された社会や文化といった根本的問題は依然として解決されていない。これらの問題を解決して,低開発から脱却して経済的自立をはかり,大衆に基盤を持つ独自な民族文化を形成し,地域としてのアイデンティティを確立していけるかどうかが,現在から将来にかけての重くて困難な課題となっている。
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百科事典マイペディア 「カリブ海」の意味・わかりやすい解説

カリブ海【カリブかい】

南米大陸北岸,西インド諸島,中央アメリカに囲まれ,大西洋の一部をなす海域。英語でCaribbean Sea。ユカタン海峡でメキシコ湾に,パナマ運河で太平洋に通ずる。約278万km2。最大水深8605m。名はカリブ族にちなむ。この地域にはカリブ,アラワク,シボネイなどの先住民がいたが,1492年のコロンブス来航以後スペイン人による苛酷な使役のため,1世紀後には少数のカリブ以外はほぼ絶滅した。17世紀にはオランダ,フランス,英国などがスペイン支配に挑んで小アンティル諸島を奪い,ジャマイカは英国に,イスパニオラ島(現ハイチ,ドミニカ)はフランスに帰属した。17世紀半ば以降,大西洋奴隷貿易によるアフリカ黒人奴隷(19世紀までに約400万人)に依存した砂糖プランテーションが各地に拡大。一方,1804年にはトゥサン・ルベルチュールらのハイチ革命で黒人共和国が独立した。19世紀に入って英領をはじめとして奴隷解放が進むと,代わりにインド人が導入された。また米国は1898年の米西戦争に勝ってキューバ,プエルト・リコを支配下に収めて以後,1914年にはパナマ運河を開くなど,カリブ海政策を展開しはじめる。1959年のキューバ革命はこのような植民地支配を制止する契機となり,その前後からカリブ諸国の独立が続いた。これら諸国といくつかの自治領は1973年カリブ共同体を発足させ,カリブ共同市場(CARICOM)の形成をめざしている。20世紀に入って,ジャマイカ出身のM.ガービーが,米国の黒人とともにアフリカ帰還運動を組織し,マルティニク出身のセゼールが〈ネグリチュード〉を提唱するなど,父祖の地アフリカへの回帰をめざす活動が盛んになった。また現代では,多民族混交文化のアイデンティティを〈クレオール〉性として主張する運動もフランス語圏を中心に盛んになっている。→ラスタファリ運動
→関連項目カルタヘナ(コロンビア)大西洋

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カリブ海」の意味・わかりやすい解説

カリブ海
かりぶかい
Caribbean Sea

北と東を西インド諸島、南を南アメリカ大陸北岸、西を中央アメリカに囲まれる大西洋の付属海。キューバとメキシコの間にあるユカタン海峡によってメキシコ湾に通じ、小アンティル諸島の間の海峡によって大西洋と結ばれ、パナマ運河によって太平洋ともつながる。面積約250万平方キロメートル。コロンビアのマグダレナ川がカリブ海に注ぐ最大の川で、ベネズエラのマラカイボ湖が最大の湾である。

 地質学的には、ホンジュラス東端とジャマイカ、ハイチを結ぶ線を境にして、南北二つの海盆から形成されている。北部の海盆は、さらに中央を横断するケイマン海膨により北側のユカタン海盆と南側のケイマン海溝に分かれる。このケイマン海溝にカリブ海でいちばん深いバートレット海淵(かいえん)(水深6946メートル)がある。ジャマイカ以南の南部の海盆はコロンビア海盆、ベネズエラ海盆、グレナダ海盆から形成されている。カリブ海の海水は大西洋の海水よりも塩分が少なく、水温も平均24℃である。また、干満の差も30センチメートルで少ない。大西洋の赤道海流が小アンティル諸島の島々の間を通ってカリブ海に入り、北東貿易風によって西側へ流されながら暖められて、ユカタン海峡を通ってメキシコ湾に入り、メキシコ湾流となる。一方、中央アメリカ沿岸では夏になると反時計回りの反流もみられる。カリブ海沿岸と西インド諸島は、一年中北東貿易風の影響でしのぎやすいが、夏から秋にかけて大西洋あるいはカリブ海で発生するハリケーンによって多大の被害を受けることがある。

 カリブ海は1493年コロンブスによってヨーロッパに紹介された。その名称は先住民のカリブに由来する。スペインはこの地域の領有を主張し、1513年太平洋が発見されると、スペイン船隊の主要なルートとなった。スペインが大部分の地域を支配したにもかかわらず、イギリス、フランス、オランダ、デンマークも小アンティル諸島に植民地を建設した。1848年アメリカ西海岸のゴールド・ラッシュ以降、カリブ海を通ってカリフォルニアに移動する人々が増加し、また1914年のパナマ運河の開通によって、アメリカ合衆国は戦略的に重要なこの地域に強い関心を示すようになった。石油、鉄鉱石、ボーキサイト、砂糖、コーヒー、バナナ、ココアなどの産物が海上交通で輸出される。経済的にはアメリカに依存している地域が多い。冬季の保養地として、アメリカ、カナダからの観光客が増加し、国際的な観光地となっている。

[菅野峰明]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カリブ海」の意味・わかりやすい解説

カリブ海
カリブかい
Caribbean Sea

大西洋の縁海の一つ。南アメリカ大陸の北岸,中央アメリカの東岸および西インド諸島に囲まれる。北緯9°から 22°までの貿易風帯に位置し,メキシコ湾流の一部はここに端を発する。海嶺や海膨によって楕円形に似た5つの海盆に分けられる。面積は 275万3000km2。最深部は 7686m。平均深度約 2500m。この海域には岩礁や濃霧が少いうえにパナマ運河によって太平洋へも通じるので船舶の往来が多い。沿岸諸地域は一般に山がちであるが港湾は少くない。コロンブスの渡航以来,ヨーロッパ諸国の植民地獲得の拠点となった地域が沿岸に多く,各国の勢力圏は錯綜していた。現在も沿岸には十数ヵ国が相接している。この地域のおもな産物は,従来,砂糖,コーヒー,バナナ,カカオなどの農産物であったが,最近は石油,鉄鉱石,ボーキサイトなどの鉱産物が注目されてきた。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「カリブ海」の解説

カリブ海(カリブかい)

アンティル諸島

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世界大百科事典(旧版)内のカリブ海の言及

【大航海時代】より

…一方,イスパニオラやキューバでは金鉱が掘り尽くされ,17年からはプランテーション制によるサトウキビの生産が始まった。 カリブ海地域でのこうした植民地経営の発足と並行して,新大陸本土への進出も試みられた。その最大のものは18年に始まったエルナン・コルテスのメキシコ遠征である。…

※「カリブ海」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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