カロテノイド

デジタル大辞泉 「カロテノイド」の意味・読み・例文・類語

カロテノイド(carotenoid/carotinoid)

カロテンに類似の一群の色素。動植物界に広く分布し、黄・赤色ないし紫色を呈する。植物ではニンジンの根やトマトの実などに、動物ではエビ・カニの殻などに含まれる。カロチノイド

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化学辞典 第2版 「カロテノイド」の解説

カロテノイド
カロテノイド
carotenoid

カロチノイドともよばれ,動物,植物界に広く分布する黄色ないし赤紫色の色素の総称.高等植物の果実,花,緑色部など,また,動物の脂肪や各種組織中に必ず存在している.現在,約400種類の天然カロテノイドが知られているが,構造的には,通常,8個のイソプレン単位からなり,単位の配列順序分子の中央で逆転しており,カロテンの構造にみられるように側鎖のメチル基が中央部では1,6の関係にあり,そのほかの部分では1,5の関係にあるような骨格を有し,多数の二重結合が,通常,共役している.分子の一端または両端に環構造を有するものも多く,それらはα-およびβ-ヨノン環が普通であるが,五員環や芳香環を有するものも知られている.もっとも分布が広く,量的にも多いのがβ-カロテンC40H56であり,それについで植物ではリコペンC40H56ルテインC40H56O2ゼアキサンチンC40H56O2があり,動物ではアスタキサンチンC40H52O4がある.二大別して,炭化水素カロテノイド(カロテン)および酸素含有カロテノイド(キサントフィル)に分かれる.試料を有機溶媒で抽出し,通常,アルミナや炭酸カルシウムを吸着剤とするクロマトグラフィーによって分離精製する.天然のカロテノイドでは,共役二重結合がすべてトランス形のものが多いが,これらは熱あるいはヨウ素と光によって異性化して種々のシス形異性体を与える.黄色ないし紫黒色結晶で,溶液は可視部に特徴ある微細構造を有する強い吸収を示す.濃硫酸五塩化アンチモンにより青色に呈色する.熱,光,空気に対して不安定で,とくに空気中では酸化を受けてしだいに無色の物質に変化する.植物の光合成における補助色素としてはたらくことが知られている.動物に対してプロビタミンA作用を有するものがいくつか知られている.一般に,水に難溶,有機溶媒に易溶.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カロテノイド」の意味・わかりやすい解説

カロテノイド
carotenoid

カロチノイドともいい,かつてはリポクロームとも呼ばれた。動植物界に広くみられる黄色,オレンジ,赤色ないし紫色の一群の色素。水には不溶で,アセトン,エーテルに可溶の共役二重結合を多くもつポリエン化合物の総称。ニンジンの根の赤色色素-βカロテンをはじめ,藻類,原生動物から爬虫類,鳥類の羽,高等植物などに多くの種類がある。植物起源のものを phytocarotenoidと呼ぶこともある。α-,β-,γ-カロテン ( C40H56 。葉,果実,魚) ,リコピン ( C40H56 。トマト) ,ルテイン ( C40H56O2 。鶏卵黄,葉) ,ゼアキサンチン ( C40H56O2 。トウモロコシ種子,カキ果実) など,300種ほどの天然カロテノイドが知られている。

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漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典 「カロテノイド」の解説

カロテノイド【carotenoid】

天然に存在する色素で、主に野菜や果実などに含まれる黄色・橙色・赤色の色素成分の総称。特に、緑黄色野菜に多く含まれるが、赤色色素であるアスタキサンチンを含むかに、えび、さけなどの一部の魚介類にも含有される。強い抗酸化作用が特徴で、目や皮膚を紫外線から保護し、活性酸素を除去する役割をもつほか、老化による視力低下の防止、抗がん作用などに効果が期待できる。◇「カロチノイド」ともいう。

出典 講談社漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典について 情報

知恵蔵 「カロテノイド」の解説

カロテノイド

主に野菜や果実などに含まれる、黄・橙・赤色の色素類の総称。一部の魚介類にも含有(カニ、エビ、サケの赤色色素=アスタキサンチン)されている。このうち、β‐カロテンなどは吸収されて体内でビタミンAに変わる。β‐カロテン、リコペン(リコピン)、ルテインには、がんや老化などの予防効果が期待され、緑黄色野菜に多く含まれる。アスタキサンチンは、他のカロテノイドに比べて強い活性酸素消去作用を持つ。

(的場輝佳 関西福祉科学大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

栄養・生化学辞典 「カロテノイド」の解説

カロテノイド

 黄色ないしは赤色の色素でテトラテルペン化合物.β-カロテンはその一つ.

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