デジタル大辞泉 「影武者」の意味・読み・例文・類語
かげ‐むしゃ【影武者/陰武者】
2 陰にあって、表面にいる人の働きを助ける人。または、表面の人を操る人。黒幕。
[補説]作品名別項。→影武者
[類語]武士・
影は似せてつくったものの意で、戦場で敵の物見(ものみ)(斥候(せっこう))や先陣を欺く手段として用いられた。なかでも戦国の武将は不時に備えて自分の体格や容貌(ようぼう)に似通った者をあらかじめ身代りにたてたり、また部下に主将と同じ装束をさせて陽動作戦をとったりした。
1561年(永禄4)9月10日の川中島の戦いで、八幡原(はちまんばら)の武田信玄(しんげん)の本陣に単騎斬(き)り込みをかけた法師武者(ほうしむしゃ)は、実は上杉方の先陣荒川伊豆守詮義(いずのかみあきよし)であり(「上杉年譜」)、一方、武田方にあって軍配団扇(ぐんばいうちわ)で防戦した大将は、実は信玄の弟逍遙軒信廉(しょうようけんのぶかど)であったといわれる。また、大坂夏の陣で、豊臣(とよとみ)方の真田幸村(さなだゆきむら)は、穴山小助、根津甚八(じんぱち)ら何人もの影武者を使って神出鬼没の働きをみせ、大いに関東方を苦しめたという。なおいまでは、陰(裏面)にあって人々に指図したり、工作したりする者にも影武者という語が使われている。
[渡邉一郎]
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