がす(読み)がす(その他表記)gas

翻訳|gas

精選版 日本国語大辞典 「がす」の意味・読み・例文・類語

がす

  1. 〘 名詞 〙
  2. 天正カルタ四八枚の中、オウル貨幣)の札とコップ(酒杯)の札との異称。オウルの二とオウルの六とを除き、他はすべて点数にならない。無点の札。つまらない札。
  3. ( 形動 ) から転じて、他と違った特色がないこと。とりえのないさま。
    1. [初出の実例]「がすな嚊めはさっぱりと、いやいや滅多にゃ去られまいと、立聞くお鶴がむしゃくしゃ腹」(出典:浄瑠璃・時代織室町錦繍(1781)四)

がす

  1. 〘 自動詞 サ行特活 〙 「がんす」の変化した語。
    1. [初出の実例]「七十五里の難所でがス」(出典:人情本・縁結娯色の糸(1839‐48)二)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「がす」の意味・わかりやすい解説

ガス(気体)
がす
gas

物質の集合状態の一つである気体のこと。日常生活では、都市ガス火山などの噴出ガス、海上山岳で発生する煙霧(えんむ)、身体内あるいは腐敗物などから発酵によって生じるガスなどをさす。工業上では、燃料や原料として用いるガスのことをいう。燃料ガスは、天然に産する天然ガスと製造ガスに大別される。後者には、石炭コークスのような固体燃料からつくられる石炭ガス、水性ガス、発生炉ガスや、原油ナフサなどの石油系原料をガス化して得られるもの、さらには副生品ともいえる高炉ガス、オフガスなどがある。それぞれ成分は異なるが、中カロリーの水素、一酸化炭素、高カロリーのメタンをはじめとする炭化水素類を含んでいる。液体、固体燃料に比べて燃焼効率が高く、安定して燃焼でき、不純物が少ないなどの種々の利点を有する。これらのガスを利用する工業としては、火力発電、都市ガス、鉄鋼石油精製、石油化学、合成化学、窯業などがある。

富田 彰]


ガス(海霧)
がす

北海道東部の太平洋沿岸で発生する霧の地方名。この霧は海霧(うみぎり)といわれるもので、6~7月ごろに多発する。冷たい親潮寒流が北海道の東岸に沿って南下する一方、この季節特有の暖かい南東の風がその上に送り込まれるのが原因である。

[大田正次]

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改訂新版 世界大百科事典 「がす」の意味・わかりやすい解説

ガス
gas

一般には気体の状態にあるもの(あるいは気体状態そのもの)を指す語で,1600年ころフランドルのJ.B.vanヘルモントがギリシア語のchaos(混沌(こんとん),形のきまっていないもの)を語源として創出したといわれる。ごく普通には,パイプラインによって供給され,一般家庭その他で燃料として使用される都市ガスをいう。また,のこと,とくに海霧や山にかかる霧をガスと呼ぶことも多い。
ガス事業 →都市ガス
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百科事典マイペディア 「がす」の意味・わかりやすい解説

ガス

一般には気体をいい,ヘルモント〔1579-1644〕が渾沌(こんとん)chaosから作った語。普通都市ガスをさす。また霧の状態,特に海上に発生した煙霧をいうこともある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「がす」の意味・わかりやすい解説

ガス
gas

石炭ガス水性ガス都市ガスなど可燃性ガス,あるいは有毒ガスの通称。気体の総称としても用いられる。また気象に関連しては,主として北海道東部太平洋沿岸で使用されているの地方名。山地の霧も,その土地の住民や登山者によってガスといわれることがある。

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世界大百科事典(旧版)内のがすの言及

【気体】より

…物質の示す状態の一つで,比較的高い温度,低い圧力の場合に実現する。気態とも書く。気体は,固体や液体と違って一定の体積をもたず,容器に入れるとこれを満たし,つねにみずから広がろうとする性質をもつ。気体の密度は,固体,液体における値より小さい。また,気体は,固体,液体と違い容易に圧縮することができる。液体固体
【気体に関する研究の歴史】
 水を熱すると水蒸気になり,冷やすと氷になることは古代人にも認識できた現象であろう。…

【ヘルモント】より

タウラーの流れをひく敬虔な信仰のため,医者としての成功に満足せず,ブリュッセル近郊に隠遁,隣人に仕える真の医者たるべく,自然の根本,目に見える現象の中に働く目に見えぬ力を探求した。とくに燃焼により発生する気体を物質の本体と考え,〈ガスgas〉と命名したことで知られる。また病気は生命をつかさどる生気である〈アルケウスarcheus〉の混乱により生ずるとし,個性をもって存在し生長するさまざまな病気を観察・分類し,治療法を研究,大きな影響を受けたパラケルススと並んで,化学療法を重視した〈医療化学派〉の代表者とされる。…

【気体】より

…しかし,このような物質の状態変化が学問として研究されるようになったのは比較的歴史が浅く,熱学が発展し始めた18世紀半ばごろからである。当時の人々は,常温常圧で液体である物質が気化したものを蒸気と呼び,一方,常温常圧で気体である物質をガスと呼んで,両者を区別していた。しかし,研究が進むにつれて,しだいにこの区別には本質的な意味のないことがわかってきた。…

【霧】より

…(f)移流霧 水蒸気を多量に含んだ空気が低温な地域上を流れて行くとき,下から冷やされて発生する霧。その代表的なものに海霧(ガスともいわれる)がある。日本付近では6~7月ころ千島列島から北海道南東沖をへて三陸沖に達する親潮(寒流)の海域に発生するのが有名である。…

【ヘルモント】より

タウラーの流れをひく敬虔な信仰のため,医者としての成功に満足せず,ブリュッセル近郊に隠遁,隣人に仕える真の医者たるべく,自然の根本,目に見える現象の中に働く目に見えぬ力を探求した。とくに燃焼により発生する気体を物質の本体と考え,〈ガスgas〉と命名したことで知られる。また病気は生命をつかさどる生気である〈アルケウスarcheus〉の混乱により生ずるとし,個性をもって存在し生長するさまざまな病気を観察・分類し,治療法を研究,大きな影響を受けたパラケルススと並んで,化学療法を重視した〈医療化学派〉の代表者とされる。…

※「がす」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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