海上にできる霧。海岸から内陸へと侵入することもある。湿った空気がより冷たい海面上に流れてきた場合にできる。この霧は濃くて、広い範囲に広がるのが普通である。船舶の航行に支障を生じ、内陸に侵入すると日射を遮って農作物の生育を妨げるなどの害がある。北海道の東方や三陸地方の東方の海上にできて、海岸から内陸へ侵入する。海霧のいちばん多い時期は7月ごろで、30年間平均の観測値によると、根室では7月中に24日、釧路(くしろ)では7月中に20日の霧が気象台で観測されている。北海道東岸の海霧を調べた例によると、霧のときの風向きは南寄りで、風速は毎秒4~5メートル、気温と水温の差は2~3℃、霧の厚さは100~600メートルであった。また海霧の上空には、はっきりとした気温の逆転がある。
海にできる霧には前記のような成因のほかに、暖かい海面上に冷たい湿った空気が流れてきたときにできる霧がある。この霧は蒸気霧とよばれ、海霧の一種である。冬季、陸上で夜間に冷えた空気が朝になって海へ吹き出したとき、沿岸海面上にできる。比較的狭い範囲に限られ、霧はあまり濃くならない。北海道の南岸沖にできる蒸気霧は、海岸線方向の幅、沖合い方向の長さとも数キロメートルの程度で、12月、1月、2月に多く発生する。気温が水温より10℃ぐらい低くなるとできやすい。冬、日本海上にできる霧も蒸気霧である。
[大田正次]
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[霧粒]
霧粒は直径数μm~数十μmの大きさで,1cm3の空気中に数個~数百個含まれている。また,単位体積中に霧粒として存在している水の量を霧水量(きりみずりよう)といい,海霧で1m3当り0.1~2g,放射霧で0.01~1g程度である。霧水量が多いときほど一般に視程は低下し,0.1g/m3のときの視程は数百mの程度であるが,0.5g/m3で100m,2g/m3で数十mとなる。…
※「海霧」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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