ガブリエル(英語表記)Gabriel, Ange-Jacques

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ガブリエル
Gabriel, Ange-Jacques

[生]1698.10.23. パリ
[没]1782.1.4. パリ
フランスの建築家一族の一人。父ガブリエル (Jacques V,1667~1742) の跡を継いで王室建築家として活躍。古代およびイギリス建築の,特にパラディオ様式の刺激を受けてロココ様式を脱し,フランスの古典主義の伝統を推進して,新古典主義建築先駆者となった。彼の作品で最も完成度の高いのは,ルイ 15世のためにつくったベルサイユ宮殿プチ・トリアノン (1762~64) であり,その均整と優美においては他の追随を許さないものがある。またパリのコンコルド広場の整備 (53~54) のようなモニュメンタルな仕事にも従事した。

ガブリエル
Gabriel, Leo

[生]1902.9.11. ウィーン
[没]1987.2.19. ウィーン
オーストリアの哲学者。 1949年ウィーン大学教授。実存哲学の立場に立ち,現代論理学の形式主義に反対して「充全的論理学」 integrale Logikを提唱した。主著"Vom Brahma zur Existenz" (1949) ,"Logik der Weltanschauung" (1949) ,"Mensch und Welt in der Entscheidung" (1961) ,"Cusanusausgabe" (3巻,1964~67) ,"Integrale Logik" (1965) 。

ガブリエル
Gabriel

ユダヤ教キリスト教イスラム教大天使の一人。ヘブライ語で「神の人」の意。ヘブライ語は Gavri`el,アラビア語は Gibrā`īl,Jabra`il,Jibrilと記す。イスラム教ではジブリールという。神意の啓示者で,旧約聖書では預言者ダニエルに現れて幻の意味を説明し(ダニエル書 9・21~23),新約聖書ではザカリヤバプテスマヨハネの誕生を告げ(ルカ福音書 1・19),また処女マリアに現れてイエス・キリスト降誕を告知した(ルカ福音書 1・26。→受胎告知)。イスラム教ではムハンマドアッラーの啓示を与えたとされる。(→天使

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百科事典マイペディアの解説

ガブリエル

ユダヤ教,キリスト教,イスラム教の天使。〈神の人〉の意。ミカエルと並んで大天使と称される。新約聖書では,バプテスマのヨハネの出現をザカリヤに告げ,キリストの誕生をマリアに告知した。画題〈聖告(受胎告知)〉にかならず登場する。イスラム教でも重要な天使の一人で,ムハンマドに啓示を伝えた。
→関連項目アベ・マリア

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世界大百科事典 第2版の解説

ガブリエル【Gabriel】

ヘブライ語で〈神の人〉の意。ユダヤ教,キリスト教,イスラム教の天使で〈神意の伝達者〉の役割を果たす。旧約聖書ではダニエルに幻の意味を説明した(《ダニエル書》8,9章)。また新約聖書ではザカリヤに現れ,エリサベツがバプテスマのヨハネをみごもることを告げ(《ルカによる福音書》1章),マリアにキリストの降誕を告知した(同)。キリスト教ではとくに重要な三大天使の一人とされ,美術のなかでも〈聖告(受胎告知)〉を主題とする数多くの作品に描かれて親しまれてきた。

ガブリエル【Jacques Ange Gabriel】

1698‐1782
18世紀フランスの建築家。建築家の家系に生まれ,1741年から父を継いで王室首席建築家の職に就き,王室関係の造営工事を数々手がける。ポンパドゥール夫人のために建設されたベルサイユ宮殿のプチ・トリアノン(1768),あるいはパリ市内のエコール・ミリテール(1788),今日のコンコルド広場であるルイ15世広場(1770)などが主要作品として知られている。活躍期間はルイ15世の在位期間にほぼ対応し,作風はパラディオ的な古典規範を重んじた端正な建築構成を求め,啓蒙主義時代の合理主義建築を推し進める上で,基盤をかたちづくった。

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大辞林 第三版の解説

ガブリエル【Gabriel】

後期ユダヤ教・キリスト教・イスラム教における大天使。新約聖書では聖母マリアにイエスの受胎を告げたとされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ガブリエル
がぶりえる
Gabhr'lヘブライ語

ユダヤ教とキリスト教における天使長の一人。神の人の意。『旧約聖書』末期の「ダニエル書」に2回(8章16、9章21)、『新約聖書』では「ルカ伝福音(ふくいん)書」に2回(1章19、26)言及されている。イスラム教の始祖ムハンマド(マホメット)もガブリエルを通して神の啓示を受けた。旧約では神と人間の間の仲介者として幻の意味を解き明かし、新約では神にかわってバプテスマのヨハネ、イエス・キリストの出生を告知する任務を担った。『旧約偽典』の「第一エノク書」20章7にはガブリエルを含む天使長のリストがある。[秋輝雄]

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世界大百科事典内のガブリエルの言及

【景教】より

…つぎの高宗も景教を保護し,諸州にその寺院をおかせ,アラホンを崇(たつと)んで鎮国大法主とした。仏教に傾斜した則天武后の治世には少し衰えたが,玄宗によって保護され,アブラハム(羅含)やガブリエル(及烈)といった有力な僧侶によって大いに教線を拡大した。 当初はこの教えを波斯経教,その寺院を波斯寺,つまりペルシア人の宗教とよんできたが,発生の地がペルシアではなく大秦国であることを知り,745年(天宝4)には詔によって波斯寺を大秦寺と改めることになった。…

【コーラン】より

…ここによくいわれるコーランの〈読みにくさ〉,あるいは伝統的に〈翻訳〉を拒否し,かたくなにアラビア語のコーランに固執しようとするムスリムの態度にみられるコーランの特異性がある。〈クルアーン〉とは,元来〈読誦されるもの〉〈読誦〉の意であるが,それは神がコーランの原本ともいうべき〈天に護持されている書板〉を天使ガブリエルを通して直接にムハンマドに読み聞かせたものである。コーランとは,このように朗々と声を出して誦するものであり,そこにコーランの魅力の一つがある。…

【スフラワルディー】より

…しかし,スフラワルディーの〈光〉は観念的なものではなく,霊魂の透徹した領域において認識可能なものである。彼はこのようにして宇宙論と認識論の統一に成功し,人はその照明的原像である天使ジブラーイール(ガブリエル)と合体することにより,至福の境地に到達しうるとする。主著は《東方照明の哲学Hikma al‐ishrāq》。…

【聖告】より

…大天使ガブリエルが神からつかわされて,ナザレの一処女マリアのもとに現れ,彼女が救世主(メシア)を産むこと(処女降誕)を告げる場面。〈受胎告知〉〈お告げ〉ともいう。…

【はかり(秤)】より

…キリスト教では,天使ミカエルが魂の重さをはかるてんびんをもち,また《ヨハネの黙示録》6章に語られる4騎手のうち,3頭めの黒馬に乗る〈飢饉〉は,手に〈裁き〉のてんびんをもつ。イスラム教では,大天使ガブリエルが〈最後の審判〉の日にてんびんで人間の善業と悪業を秤量し悪業が勝ればジャハンナム(聖書のゲヘナに由来する語で〈地獄〉の意)におとすとコーランにある。重量をはかることを裁きの手段とする考えは中世に至って強化され,魔女裁判の中で猛威をふるった。…

【ムハンマド】より

…そのような瞑想中,突然に彼は異常な経験をする。全身が押しつぶされるような感覚があり,大天使ガブリエルが啓示を〈誦(よ)め〉と命じたと伝えられている。最初の啓示は彼が40歳のころにあった。…

【フォンテンブロー宮殿】より

…その後,ルーブル宮殿やコンピエーニュ宮殿と同じく,フランス王室が長い時間をかけて増築を繰り返す。工事にはアンリ4世時代のドロルムからルイ15世時代のガブリエルに至る,歴代の王室建築家がかかわった。そのため建物の配置は不整形で,西側の最も古い部分(〈ユリシーズの間〉など謁見,宴会などのための公的な部屋を配置),中央の馬蹄形の一画(国王や王妃のための私室群),東側のコの字形の一画(兵士の区画)に,大きく分けられる。…

※「ガブリエル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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