ガルシアマルケス(英語表記)Gabriel García Márquez

デジタル大辞泉 「ガルシアマルケス」の意味・読み・例文・類語

ガルシア‐マルケス(Gabriel García Márquez)

[1928~2014]コロンビア小説家。1967年に発表した年代記風の長編百年の孤独」で注目された。他に「族長の秋」「予告された殺人の記録」など。1982年、ノーベル文学賞受賞。

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改訂新版 世界大百科事典 「ガルシアマルケス」の意味・わかりやすい解説

ガルシア・マルケス
Gabriel García Márquez
生没年:1928-

コロンビアの小説家。1982年度のノーベル文学賞を受賞。サンタ・マルタに近い小さな町アラカタカで生まれ,ボゴタ大学で法律を学んだ後,ジャーナリズムの道に入ってローマ,パリに在勤。現在はメキシコに住む。1955年に中編《落葉》を発表してから,同じく中編《大佐に手紙は来ない》(1961),短編集《ママ・グランデの葬儀》(1962),中編《悪い時》(1964)などを経て,20世紀小説の最大の収穫の一つと言われる《百年の孤独》(1967)を世に送った。33ヵ国語に翻訳され,600万部を売ったというこの物語は,架空の町マコンドを建設したばかりか,その滅亡にも立ち会った奇矯なブエンディーア一族の100年にわたる年代記のかたちを借りて,征服植民,独立そして激動する現在というラテン・アメリカの歴史を描いた作品である。ロムロ・ガリェゴス賞を受けた72年にカリブ的な幻想に満ちた短編集《純真なエレンディラとその無情な祖母の信じがたい悲惨の物語》で好評を博したガルシア・マルケスは,引き続いて,ラテン・アメリカが生んだ唯一の神話的存在である独裁者の孤独と狂気の物語《族長の秋》(1975)を書いた。上記ほかにも,小説的ルポルタージュとも言うべき《ある遭難者の物語》(1970)や,《予告された殺人記録》(1980)などがある。
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世界大百科事典(旧版)内のガルシアマルケスの言及

【ラテン・アメリカ文学】より

…アルゼンチンのペロン政権下の暗い時代の中での不条理な愛の葛藤を描いたサバトErnesto Sábato(1911‐ )の《英雄たちと墓》(1961),廃虚に等しい工場を舞台にして生の無意味を追究したウルグアイのオネッティの《造船所》(1961),フランス大革命のカリブ地域に及ぼした影響をたどったキューバのカルペンティエルの《光の世紀》(1962),メキシコ革命で成り上がった男の臨終の床の意識をなぞったフエンテスの《アルテミオ・クルスの死》(1962),実験的なスタイルで根なし草的な生を浮かび上がらせたアルゼンチンのコルターサルの《石蹴り遊び》(1963),ペルーの社会的現実を全体小説のかたちでとらえたバルガス・リョサの《緑の家》(1966)。そして,架空の町マコンドの創建と滅亡に仮託して新世界の歴史を描いたコロンビアのガルシア・マルケスの《百年の孤独》(1967)。素材も形式もきわめて雑多であって,強い物語性と前衛的な方法性といった抽象的なレベルでしか共通性を語りえないこれらの作品は,小説文学の命脈について一般になされている不吉な予言におびえていたパリ,ニューヨーク,ロンドンの読者たちを,そのうちに秘めた活力によって驚かし,安堵(あんど)させたのだった。…

※「ガルシアマルケス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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