キッコーマン

改訂新版 世界大百科事典 「キッコーマン」の意味・わかりやすい解説

キッコーマン[株]

シェア3割を超えるしょうゆのトップ・メーカー。総合食品会社へ脱皮が進んでいる。本社千葉県野田市。キッコー(亀甲)マン印で知られる。創業は,現在の野田市において,1661年(寛文1)19代高梨兵左衛門のしょうゆ醸造業の開業と,翌62年初代茂木七左衛門のみそ醸造業開業に始まる。茂木家は6代目の時代にしょうゆ業に転業した。1917年に至り,分家を含めた茂木・高梨の一族8家が合同し,野田醬油(株)を設立した。28-29年にかけて218日にわたる戦前最長の労働争議野田醬油争議)を経験したが,30年には兵庫県加古川市に関西工場を建設し,野田のローカル・メーカーからナショナル・ブランド・メーカーへの発展の足場を築いた。36年ソースを発売。64年キッコーマン醬油(株)に,80年多角化進展に伴いキッコーマン(株)に社名変更した。

 第2次大戦直後は原料の割当削減等の困難もあったが,50年代後半から高度成長の波に乗って発展した。61-62年に子会社を設立してトマト製品(トマトケチャップ,トマトジュース等),ワイン(マンズワイン)などに進出した。72年にはアメリカ,ウィスコンシン州に100%出資のキッコーマン・フッズ社を設立,翌年からアメリカ製しょうゆの生産開始,以後海外市場の開拓を進めている。現在,食品,酒類が売上げの約5割になっている。資本金116億円(2005年9月),売上高3446億円(2005年3月期)。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キッコーマン」の意味・わかりやすい解説

キッコーマン

醤油メーカー最大手。 1917年野田醤油として設立,25年萬上味醂を合併。 57年アメリカに販売現地法人キッコーマン・インターナショナルを設立。 61年吉幸食品工業,盛進製薬,62年マンズワインをそれぞれ設立。 64年キッコーマン醤油と改称,80年現社名に変更。 63年アメリカのデルモンテ (レイノルズ・インダストリーズの子会社) との合弁会社日本カルパックを設立。 69年アメリカの東洋食品輸入販売会社ジェイ・エフシー・インターナショナル,70年食品商社太平洋貿易にそれぞれ資本参加。 72年アメリカに醤油生産会社キッコーマン・フッズを設立。 90年,極東におけるデルモンテ商標の永久専用使用権取得。近年はワイン,トマト製品をはじめとして食品分野の多角化を目指しており,海外へも積極的に進出している。売上構成比は,醤油 44%,食品 15%,デルモンテ 16%,酒類 22%,その他3%。年間売上高 2294億 7500万円 (連結。うち輸出2%) ,資本金 115億 9900万円 (1998) ,従業員数 2834名 (1999) 。

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「キッコーマン」の解説

キッコーマン

正式社名「キッコーマン株式会社」。英文社名「KIKKOMAN CORPORATION」。食料品製造業。大正6年(1917)「野田醤油株式会社」設立。昭和39年(1964)「キッコーマン醤油株式会社」に改称。同55年(1980)現在の社名に変更。本社は千葉県野田市野田。東京本社は東京都港区西新橋。醸造会社。しょうゆ最大手。北米はじめ海外に積極展開。デルモンテ商標の使用権所有。東京証券取引所第1部上場。証券コード2801。

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とっさの日本語便利帳 「キッコーマン」の解説

キッコーマン

香取神宮(千葉県佐原市)の山号「亀甲」+「鶴は千年、亀は萬年」=亀甲萬

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

世界大百科事典(旧版)内のキッコーマンの言及

【醸造業】より

…また,原材料の多くを輸入に頼っていること,しょうゆ,みそ,食酢の製造技術が似かよっていることもあり,これらの兼業メーカーが多いことも特徴的である。
[しょうゆ]
 日本のしょうゆメーカーは3000社近くあるが,キッコーマン,ヤマサ醬油,ヒゲタ醬油,丸金醬油,ヒガシマル醬油の大手5社のシェアは50%に達している。生産量は114万kl(1994)で,1人当りの消費量は年間10l前後。…

【しょうゆ(醬油)】より

…生産量の半分以上は業務加工用で,残りが家庭で消費される。1972年キッコーマン社がアメリカで本醸造濃口しょうゆの製造を始め,年産2万kl(1982)に達し,同国の従来の化学分解型しょうゆより多くなった。日本から全世界への輸出量は8400kl(1982)である。…

※「キッコーマン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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