翻訳|chiton
古代ギリシア人の着用したもっとも普遍的な衣服。男女に用いられ、下着と表着を兼ねていた。語源はヘブライ語のケトーネkethōnetと同義のセム語にある。ローマでは(すなわちラテン語で)これをトゥニカtunicaとよび、フランス語に入ってチュニークtunique、英語に入りチュニックtunicとなった。キトンの種類は、性別や階級などによってさまざまなものがあるが、大別してドーリス式キトンとイオニア式キトンがある。
前者は一般にペプロスpeplosともよばれ、初期に多く用いられたウール地の単純な型のものをさしていう。すなわち、長方形の布を二つに折って、その中に身体を入れて包むようにしながら、2個のペローネperone(ピン、ブローチの類)を用いて肩のあたりで留め、次に自然に現れるドレープを、1本または2本の紐(ひも)で整えるのであるが、その方法でさまざまな形になった。後者は古典期に用いられたひだの多い優美な型で、麻地でつくられた。その典型的な着方は、両腕を水平にあげて、それをカーテンレールに見立てて布をかけてゆく方法であり、袖山(そでやま)に沿って等間隔に多数のペローネが留められるのが特色である。白無地のほかに色物もあり、縁どり刺しゅうなどが施された。
[菅生ふさ代]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…古代ギリシアの主として女性が着用した袖のない衣服で,ドリス式のキトンをさす。長方形の毛織物の一枚布で,その上部を外側に折り返し,二つ折りにして体をはさみ,両肩をピンでとじ合わせた。…
※「キトン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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