日本大百科全書(ニッポニカ) 「キルパトリック」の意味・わかりやすい解説
キルパトリック
きるぱとりっく
William Heard Kilpatrick
(1871―1965)
アメリカの教育哲学者。デューイの指導を受け、ともに新教育運動を推進した。とくに、新教育における学習活動の様式としてプロジェクト・メソッドを考案したことで知られる。しかし、教育研究に対する貢献として注目すべきことは、以上のことよりもむしろ、プロジェクト・メソッドが依拠する学習の一般理論において、「付随学習」という概念をつくりだしたことであろう。子供は学校で、教師が意図した教科内容だけを学ぶのではない。それと並行して、学校、教師、学習、自分自身についても同時に学んでいるのである。これが付随学習であり、この蓄積が子供の性格を形成する。彼は従来の教育研究がこの点を無視してきたことを批判した。
[池田久美子]
『キルパトリック著、村山貞雄他訳『教育哲学』全2巻(1969・明治図書出版)』