キングズリー(読み)きんぐずりー(その他表記)Charles Kingsley

デジタル大辞泉 「キングズリー」の意味・読み・例文・類語

キングズリー(Charles Kingsley)

[1819~1875]英国の宗教家小説家キリスト教社会主義を唱えた。小説「オールトン‐ロック」「酵母」、童話「水の子ら」など。

キングズリー(Sidney Kingsley)

[1906~1995]米国の劇作家。社会的関心の濃い作品を書く。作「白衣の人々」「デッド‐エンド」など。

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精選版 日本国語大辞典 「キングズリー」の意味・読み・例文・類語

キングズリー

  1. [ 一 ] ( Charles Kingsley チャールズ━ ) イギリスの宗教家、作家。キリスト教社会主義を提唱。主著に、小説「酵母」「オールトン‐ロック」、童話「水の子ら」など。(一八一九‐七五
  2. [ 二 ] ( Sidney Kingsley シドニー━ ) アメリカの劇作家。数多い人物の登場する社会劇で名高い。主著に、「デッド‐エンド」「探偵物語」。(一九〇六‐九五

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「キングズリー」の意味・わかりやすい解説

キングズリー(Charles Kingsley)
きんぐずりー
Charles Kingsley
(1819―1875)

イギリス国教会イングランド教会)の聖職者、社会改革者、作家。モーリスの影響を受けて社会改革に強い関心をもち、協同主義に基づくキリスト教社会主義運動を始め、数多くの小説を通して啓蒙(けいもう)に努めた。オックスフォード運動には否定的で、ローマ・カトリック教会に改宗したニューマンを批判したが、ニューマンは『わが生涯の弁明』(1864)によって反論した。児童文学の分野では『水の子』(1863)などで知られ、日本でも、片山潜(かたやません)による最初のセツルメント事業の拠点であるキングスレー館建設(1897)で知られるように、初期社会主義運動に影響を及ぼした。

[八代 崇 2018年1月19日]


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改訂新版 世界大百科事典 「キングズリー」の意味・わかりやすい解説

キングズリー
Charles Kingsley
生没年:1819-75

イギリスの牧師,小説家,詩人。ケンブリッジ大学卒業後ハンプシャー片田舎の牧師となり,過労と病気に悩まされながら,創作,社会改良運動,博物学の講演など精力的な活動を続けた。ケンブリッジ大学の近代史教授を務めたこともある。彼は若くしてカーライルの産業社会批判と,〈キリスト教社会主義〉を唱えたJ.F.D.モーリスの影響を受け,社会問題をテーマとした小説《イースト》(1848)および《オルトン・ロック,仕立屋詩人》(1850)を書き,農村やロンドンの貧民たちの生活を迫力をもって描いた。しかしチャーチズムの衰退後は5世紀のアレクサンドリアを舞台とした《ハイパシア》(1853),エリザベス時代のスペインとの戦いを描く《西へ出航!》(1855)などの伝奇的歴史小説,貧しい少年が海中の生活を送るファンタジー《水の子たち》(1863)などに転じた。愛すべき小品詩人でもあり,外山正一らの《新体詩抄》にも1編が収められている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キングズリー」の意味・わかりやすい解説

キングズリー
Kingsley, Sidney

[生]1906.10.22. ニューヨーク
[没]1995.3.20. ニュージャージー
アメリカの劇作家。民主主義を理想とする社会批判的なテーマを写実的に描く作家として知られる。コーネル大学卒業後,一時俳優をしていた。 1933年上演された処女作『白衣の人々』 Men in Whiteは,医学的使命感と現実の生活の間で悩む若き医師を中心に病院生活を描いた作品で,ピュリッツァー賞を受けた。そのほか,スラム街の少年たちを描いた『デッド・エンド』 Dead End (1935) ,アメリカの初期民主主義の歴史を題材にした『愛国者たち』 The Patriots (43) ,人間性を失った刑事の悲劇『探偵物語』 Detective Story (49) や,A.ケストラーの小説の劇化『真昼の暗黒』 Darkness at Noon (51) がある。

キングズリー
Kingsley, Charles

[生]1819.6.12. デボンシャー,ホーン
[没]1875.1.23. ハンプシャー,エバズリー
イギリスの牧師,小説家。 1848年友人の F.D.モリスらとともにキリスト教社会主義の運動を創始。社会・宗教問題を扱った小説『酵母』 Yeast (1848) を発表,次いでチャーティスト運動に参加する青年を主人公とする『オールトン・ロック』 Alton Locke (50) を書いた。その後保守的傾向を強め,歴史小説『西行きの船だよ』 Westward Ho! (55) などがある。 64年 J.H.ニューマンと論争を行い,ニューマンの『アポロギア』が生れる契機をつくった。

キングズリー
Kingsley, Henry

[生]1830
[没]1876
イギリスの小説家。 C.キングズリーの弟。作品には,5年間滞在したオーストラリアに取材した小説『ジェフリー・ハムリンの思い出』 The Recollections of Geoffrey Hamlyn (1859) など。

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百科事典マイペディア 「キングズリー」の意味・わかりやすい解説

キングズリー

英国の小説家。牧師,ケンブリッジ大学近代史教授。《イースト》《オルトン・ロック,仕立屋詩人》などキリスト教社会主義の立場から傾向小説を発表。《ハイパシア》《西へ出航!》や,童話《水の子たち》も有名。博物学に関心を寄せた作品もある。

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世界大百科事典(旧版)内のキングズリーの言及

【キリスト教社会主義】より

…ただし名称も概念もはっきりした規定はない。最初イギリスで,広教会に属するモーリスF.D.MauriceとキングズリーC.Kingsleyとが市民社会の個人主義と功利主義に反対して,自由・平等・兄弟愛による〈神の国〉の理想を掲げ,これは聖書・洗礼・聖餐に対応する倫理であると唱えた。その際R.オーエンやサン・シモンの社会主義の影響があったと見られる。…

【キリスト教社会主義】より

…ただし名称も概念もはっきりした規定はない。最初イギリスで,広教会に属するモーリスF.D.MauriceとキングズリーC.Kingsleyとが市民社会の個人主義と功利主義に反対して,自由・平等・兄弟愛による〈神の国〉の理想を掲げ,これは聖書・洗礼・聖餐に対応する倫理であると唱えた。その際R.オーエンやサン・シモンの社会主義の影響があったと見られる。…

【児童文学】より

…しばしば子どもたちの実態を小説に描いたC.ディケンズは《クリスマス・キャロル》を1843年にあらわし,E.リアは滑稽な5行詩による感覚的なノンセンスの楽しみを《ノンセンスの本》(1846)にまとめた。 空想の国へ子どもをさそうファンタジーは,C.キングズリーの《水の子》(1863)を経て,L.キャロルの《不思議の国のアリス(アリス物語)》(1865)でみごとな花をさかせた。少年小説もまたT.ヒューズの《トム・ブラウンの学校生活》(1857),R.バランタインの《サンゴ島》(1857),ウィーダOuidaの《フランダースの犬》(1872),シューエルA.Sewellの《黒馬物語》(1877)のあとをうけて,R.L.スティーブンソンの《宝島》(1883)で完成した。…

※「キングズリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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